【Q&A 3】ファミレス業界で検証! サイゼリヤのC/Sはどちらでしょう?
「キャッシュ・フロー計算書(C/S)」は、ファミレス業界2位のサイゼリヤと5位のジョイフル傘下のフレンドリーを比較。どちらがサイゼリヤでしょうか?
首都圏を中心に、低価格のイタリアンレストランチェーン「サイゼリヤ」を展開。野菜の栽培、収穫から加工・調理までを自社で管理。
フレンドリーってどんな会社?
近畿圏で和食主体のファミリーレストラン「産直鮮魚と寿司・炉端 源ぺい」などを展開。業界5位のジョイフルの子会社。
どちらが正解か一緒に考えてみよう!
【金川先生】C/Sは、3つの箱(要素)の組み合わせからトータルな判断をすることがポイントです。ファミレス業界から2社をピックアップしてみましたが、C/Sを観察してE社とF社は、どんな状態だと思いますか?
【吉田さん】E社は2018年8月期と19年8月期の「営業CF」がプラスで、「投資CF」と「財務CF」がマイナスなので成長が期待できる状態、20年8月期は「財務CF」がプラスになったので借入金を利用して、さらに成長を目指しているのではないでしょうか。
【金川先生】その通りです。一方のF社では、19年3月期は「営業CF」と「投資CF」がマイナスで「財務CF」がプラス、20年3月期は3つの箱すべてがマイナスです。どちらも危険信号ですから、今後の動向を注視する必要がありそうですね。
【吉田さん】ファミレス業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も大きそうですし、どの会社も厳しい経営状態が続いていそうです。
【金川先生】でも、サイゼリヤは、「テイクアウト+イートイン」の小型店の新業態の投入を開始しているんです。
【吉田さん】アフターコロナを見据えた投資を行っているんですか? ということは、サイゼリヤはE社ですね。
【金川先生】正解です。こんな挑戦ができるのも、実質無借金の財務基盤があるからです。かなりの資金調達もしたようですけれども……。
【吉田さん】C/Sを見ても現金がたくさんありそうですしね。決算書を読むのが楽しくなってきました。
構成=大山弘子 イラスト=tactsato
1986年三重県生まれ。立命館大学卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格。有限責任監査法人トーマツを経て独立。不動産、保険代理店、広告代理店、教育事業など、様々なビジネスのプロデュースに携わり、300社を起業、300人の「稼ぐ経営者」を育て上げる。「YouTube図書館」の運営や執筆活動も行なう。著書に『仕事と人生を激変させるなら99.9%アウトプットを先にしなさい』(SBクリエイティブ)、『人もお金も動かす超スゴイ!文章術』(すばる舎)など多数。近著に『公認会計士が教えるお金の増やし方大全』(ポプラ社)