【Q&A 1】アパレル業界で検証! しまむらのP/Lはどちらでしょう?
ここからは同業2社を比較しながら、読者代表の吉田さんとの会話形式で学びます。最初はしまむらとレナウンのP/L。どちらがしまむらでしょう?
低価格の実用・ファッション衣料などを販売する専門店チェーン。堅実経営が特徴。ベビー・子ども用品、雑貨など複数業態を展開。
レナウンってどんな会社?
1902年創業の老舗アパレル企業。2010年、中国の繊維大手グループ傘下に。業績不振にコロナが加わり、20年11月破産。
どちらが正解か一緒に考えてみよう!
【金川先生】ライバル会社を決算書で比較すると、さまざまなことがわかります。まずはP/Lです。低価格の実用・ファッション衣料などを販売するしまむらと、老舗アパレル会社で、かつては業界内で売り上げ日本一だったレナウンを取り上げて比較しました。どちらがしまむらの損益計算書なのか、わかりますか?
【吉田さん】レナウンって、確か、倒産したんじゃなかったですか?
【金川先生】そうです。大きなニュースになりましたよね。新型コロナウイルス感染症拡大の影響も大きかったとは思いますが、実は、その前から業績が悪化していたんですよ。B社の本業のもうけを表す「営業利益」を見てください。2019年2月期、19年12月期ともマイナス、つまり赤字になっていますね。
【吉田さん】本当だ! 19年からもうかっていませんね。
【金川先生】はい。B社は「営業利益」も「経常利益」も19年2月期からマイナスで、③の図にあるとおり資金面で弱い状態であるとわかります。一方、A社は「売上高」は減少しているものの、「営業利益」も「経常利益」も黒字です。
【吉田さん】資金が潤沢にある可能性が高いんですね。
【金川先生】営業利益率はどうでしょう。
【吉田さん】A社はプラスだけど、B社はマイナス。ということは、B社がレナウンで、A社がしまむらですね。
【金川先生】正解です。損益計算書を読むポイントはもうバッチリですね。