「性的な対象として扱われていることへの抗議」。東京五輪の体操女子団体に出場したドイツの選手が足首まで覆う「ユニタード」を着用した。露出多めのユニフォームは是か非か。スポーツライターの酒井政人さんは「陸上の女子選手の場合、動きやすさ重視、いいタイム・成績を出すために、上下が分かれたセパレート型のユニフォームが主流になっています」という――。

ドイツ体操女子「性的な対象として扱われていることへの抗議」

競泳、陸上、体操……テレビで東京五輪のさまざまな種目を見る機会が増えた。改めて実感するのは世界最高峰のアスリートたちの均整がとれ引き締まった体型の美しさである。

そんななか体操女子団体に出場したドイツチームのウエアが話題になった。レオタードではなく、足首まで覆う「ユニタード」を着用していたからだ。

近年、女性アスリートの盗撮や下半身をクローズアップした写真がネットに拡散される問題が深刻化している。筆者も本欄で、「 肌露出多めのユニフォームは是か非か“女性陸上アスリート”赤外線盗撮の卑劣手口」(2020年11月7日配信)という記事を書いた。

「女性アスリートが性的な対象として扱われていることへの抗議」というドイツチームのアクションは、ユニフォームの在り方に一石を投じたものの、チームは予選9位で決勝に進むことはできなかった。

体操競技では体を覆うユニフォーム着用も国際ルールで認められている。だが、ユニタードが今後のトレンドになるかといえば、今回の結果を考えると主流になりにくいと思われる。なぜなら、選手たちは何よりも「結果」を最優先に考えているからだ。

かつてシンクロナイズドスイミングと呼ばれたアーティスティックスイミングでは、「脚を長く見せるために」意識的にハイレグタイプの水着を選んでいる国が少なくない。審判の判定法には当然レギュレーションはあるが、芸術性が関わってくる種目では目に映った時の印象が採点に表れる可能性がある。そうなると少しでも有利になるかもしれない(もしくは、不利にならないようにと)ビジュアルのウエアを選ばざるをえなくなる。

アーティスティックスイミングの演目中
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