“目に余る”経営者たち

【白河】最後に、日本における女性活躍への取り組みをどう見ていらっしゃいますか?

【江川】以前、ある経営者が「今、うちは働き方改革をやっているから業績がよくないんです」と言っていて、非常に憤りを感じたことがあります。数字を落とさずに改革する方法を考えるのが社長の仕事だろうと言いたいですね。

同じように、女性比率を上げることを単に人数的な帳尻を合わせることだと考えている経営者もいます。そうではなくて、自社のビジネスを拡大したら自然と女性比率が上がるという仕組みを作ることが社長の仕事であると思います。

主要ポジションに女性をつけなければ意味がない

【江川】数字合わせだけをやると、社内の男女比率は半々でも主要なポジションについているのは男性ばかりということになりかねません。それではまったく意味がない。当社では男女比率の問題はほぼ解決済みで、今はもう「中核ポジションの女性比率をどれだけ高められるか」がテーマになっています。何のためにやるのかといえば、われわれのビジネスを成長させるためです。これからのビジネスは、中心に女性がいなかったら成長は見込めない。意思決定の場に女性が何%いるか、リーダー陣の多様性が重要だと思っています。

【白河】女性が活躍できる場をつくり、働き方改革で環境を整え、そして主要なポジションに自然と女性が上がってくる。これがまっとうな順番ということですね。江川社長は自ら本気で行動し、大きな成果を出されました。こうした前例は今後、他社にとって非常に重要な指標になると思います。

構成=辻村洋子

江川 昌史(えがわ・あつし)
アクセンチュア 代表取締役社長

1989年、慶応義塾大学商学部卒業、同年アクセンチュアに入社。消費財業界向け事業の日本統括を歴任し、2008年に執行役員就任。 14年取締役副社長就任、15年より現職。20年3月グローバル経営委員会メンバーに就任。社長就任以降、日本におけるアクセンチュアのビジネスを3倍の規模に導くと同時に、全社横断の社員意識・働き方改革プロジェクトも主導。

白河 桃子(しらかわ・とうこ)
相模女子大学大学院特任教授、女性活躍ジャーナリスト

1961年生まれ。「働き方改革実現会議」など政府の政策策定に参画。婚活、妊活の提唱者。著書に『働かないおじさんが御社をダメにする』(PHP研究所)など多数。