無神経な一言を予防するには
ただ、このような無神経な発言をする人には、自覚症状がなく、改善までに時間がかかります。「私はこんなこと言っていない」と思った人も、これまでに一度も言ったことがないとは言い切れないのではないでしょうか。
まずは、もしかしたら無神経な一言を言っているのかもしれない、と考えてみることから、始めてほしいと思います。
無神経な一言を予防するには、しっかり相手を観察することが必要であり、一度相手の立場に立ってから発言することが一番効果的です。最初のうちは、思ったことや考えたことを、頭の中で何のフィルターも通さずに話すことをやめましょう。発言する前には、「もし自分が同じことを言われたら、嫌じゃないか?」と自分に問いかけてから発言するようにしてください。
謝罪のときにしがちな「余計な一言」2つ
これらの余計な一言は、今までの信頼関係を壊すほどの破壊力があります。ただし、誰しも人間なので、ついこのようなことをやってしまう可能性はありますよね。
そのようなときは、素直に心から相手を傷つけたことを謝罪するのが大切です。ただし、つい余計な一言を言ってしまう人は、その謝罪のときにでも、余計な一言を言っていることがあります。本人としては真剣に謝っているつもりなのに、周りをイライラさせていることがあるのです。
たとえば、謝罪しているのに、つい弁解したり、正当化したりしていませんか。ちなみに弁解とは、「気分を害することを言ってしまって、申し訳ありませんでした。でも、本当にそんな気持ちにするつもりはなかったのです」のような言い方であり、ちょっとでも責任を逃れようとするスタンスがにじみ出てしまっているのです。
また、正当化とは、
「たしかに、私も申し訳ないところはあったけど、ほかの人も同じように言うこともありますよね」
という社会的比較で、部分的には自分の責任を認めるものの、そこまで非難されるようなことはしていない、と言いたげなスタンスが含まれます。これでは、相手は心から謝罪されたような気持にはなれないのです。
余計な一言を言ってしまったと思ったら、まずは謝罪。そしてその謝罪でも、余計な一言を言っていないか意識していきましょう。
「雑談が苦手」だと感じているあなたも、仲のいい友人や家族とたくさん話をして、幸せを感じたことがあるはずです。誰かと楽しく話をしたことで、その1日に充実感を覚えた人もいるでしょう。
ストレスを感じないコミュニケーションは、本来楽しいものです。どんな相手でも、どんな場面でも、あなたが雑談を楽しめるようになることを願っています。
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。