「いい人」だけでは年収は上がらない

人に関するヒューマンマネジメントは、協調性(周囲と協調する)→主体性(自ら動く・周囲を引っ張る・メンバーをまとめる)→育成(人を育てる)というステップで周囲への影響力を高めていくことが年収アップのポイントになります。

自身の自己管理から始まり、チーフになると3人程度、プロジェクトリーダー・主任クラスになると5人程度、課長クラスになると10人程度の管理と、管理する人員数が増え、それによって年収も上がっていきます。

チーフクラス以上は、「協調性」だけでなく、チームを引っ張る「主体性」や人を育てる「育成」が求められるようになり、その影響力の範囲が年収に反映されます。

一方、タスクマネジメントでは、新人・メンバークラスは、まずは自身のPDCAを一人で回せるようになることが求められます。

チーフクラス以上は、「個人」から「組織」レベルのPDCAを回すことが求められ、その規模が大きくなることによって、年収は上がっていきます。

つまり図表1の横軸(ヒューマンマネジメント)と縦軸(タスクマネジメント)が示す面積が大きければ大きいほど、年収も大きくなるわけです。

ヒューマンマネジメントはできるけれど、タスクマネジメントはできない。こういう人が「あの人、いい人なんだけど仕事できないよね」といわれがちです。

「あの人、いい人だけど、納期を守らないよね」「計画がずさんだよね」「目標達成できないよね」、こんな風に評価されてしまうのは、やはり問題です。

どんなに部下に人気のある「いい人」であっても、組織レベルのPDCAを回せないと、管理職としての評価は低くなり、年収も上がりません。

「あの人、仕事はできるけど、絶対一緒に仕事したくないよね」

一方で、「あの人、仕事はできるけど、絶対一緒に仕事したくないよね」と部下や周囲から徹底的に嫌われてしまう人もいます。

成績は優秀だけど、部下の面倒をまったく見ない。自分のレベルだけで物事を考え、達成不可能な目標を部下に与える、パワハラやセクハラまがいの言動が多い……。

これはこれで、やはり問題です。たとえ成果主義が導入されても、管理職の評価は個人の業績だけで決まるわけではありません。人を育てることも重要な仕事です。

バブル崩壊後に多くの企業が成果主義を導入したときは、個人の数字や売上だけを重視したため、上司が自分の業績だけを上げることに邁進し、部下が育たない、スキルや経験が継承されない、人心が荒れるなど、さまざまな問題が起こりました。

今後、成果主義が導入されたとしても、多くの企業はこの反省を踏まえ、個人の数字や売上だけを評価指標にはしないはずです。

タスクマネジメントはできるけれど、ヒューマンマネジメントはできない。こういう人も、高い評価は得られず、年収が下がります。