⑥ 隙間役職(部長代理、担当部長など)がなくなる

今後、多くの企業では「隙間役職」もなくなっていくでしょう。

部長代理、担当部長、部長補佐、副部長……、このように何をしているのかよくわからない役職がありますよね。私はこれらを「隙間役職」と呼んでいます。

隙間役職とは、簡単にいうと「部長じゃないんだけど、部長ぐらいのお金を出してあげる」という制度です。

もちろん、重要な職責を担っている方も多くいらっしゃるので一概には言えませんが、大きな会社では社員の高齢化にともない隙間役職がどんどん増えています。しかし、その年収に見合ったパフォーマンスを発揮しているとは限りません。

こうした役職を増やし、年収を上げ続けてしまったことが、企業経営を逼迫ひっぱくさせている大きな原因となっています。

隙間役職をなくし、ポストがなければ給与が上がらない仕組みにすれば、企業としては給与を上げる必要がなくなります。責任はないんだけど、なんとなく偉いかんじで、給料をたくさんもらっている。こういう隙間役職も今後なくなっていくはずです。

中高年やシニア社員にとっては歓迎できない変化かもしれません。すでに隙間役職についている人にとっては死活問題となります。

若い世代も気が抜けない

一方、若い世代にとっては、健全な発想に思えるのではないでしょうか。

ただ、これは役職者に限った話ではありません。部長職に限らず、メンバー、チーフ、課長クラスなど、ポジションごとに給与に見合った能力を発揮することが求められるので、成果を出さない限り、誰もが年収が上がらなくなることを意味しています。

つまり本当の意味で実力が問われる社会になるということです。これは独立や転職がしやすくなる時代になることも意味しています。

西尾 太(にしお・ふとし)
人事コンサルタント、フォー・ノーツ代表

「人事の学校」「人事プロデューサークラブ」主宰。1965年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。いすゞ自動車労務部門、リクルート人材総合サービス部門を経て、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)にて人事部長、クリエイターエージェンシー業務を行なうクリーク・アンド・リバー社にて人事・総務部長を歴任。著書に『人事の超プロが明かす評価基準』(三笠書房)、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)などがある。