「体調が悪くても休めない」人への問いかけ

絶対に休んだほうがいい状態なのに、休もうとしない方は多いです。「迷惑をかけると悪い」と考えているからです。

でも、そこは「お互い様」でいいと思うんですよ。

誰だって体調を崩すことはあるので、今、自分が休むことに罪悪感を覚える必要はありません。だから私は、「迷惑をかけると悪いから休めない」と、無理をしている方には、次のような問いかけをしています。

「今日から会社を休むと想像してみてください。それで、実際にあなたが会社を休んだ影響で、明日会社がつぶれる可能性はどれくらいありますか?」

すると、みなさん「ほぼないです」と言います。

もちろん、会社を休めない理由というのはいろいろあると思うんですね。自分にしかわからない仕事があるとか、必ず今日中に終わらせないといけない仕事があるとか。でも、会社の全体像からみたら、ほんの一部分なわけです。

だから、自分の健康を犠牲にしてまで働かなくていいのではないでしょうか。

自分の代わりはいくらでもいる

この話をしたとき、

「たしかに、自分が休んでも会社はつぶれないですよね。でも、それを認めると、自分の存在価値なんて微々たるものだと思えてきて、逆に落ち込みます」と、言われたことがあります。

たしかに、そうかもしれません。でも、体調が悪いときというのは、パフォーマンスも落ちていることでしょう。だから、まずは体を治して、いつも通りの状態になってから、会社を助けていただければと思います。

私自身は、昔読んだ本に載っていた言葉に常に支えられています。

「自分の代わりはいくらでもいるので、どんどん逃げましょう」

産業医なんていくらでもいるし、精神科医もたくさんいるし、私よりも優秀な医師は山ほどいるわけだから、何かあれば、いくらでもパスしようと考えています。

それは決して、無責任に患者さんを投げ出すという意味ではなく、他のドクターを頼るということ。自分のパフォーマンスが落ちているときに、安易な正義感で患者さんを抱え込むのではなく、双方にとってより適切な形を選ぶということです。

だから、「周りに迷惑をかけると悪いから休めない」とは考えずに、「お互い様」の気持ちで、自分の心と体を大切にしてください。