余計なひと言を言う人にうんざり

世の中には、ひと言多い人というのが存在します。

余計なひと言を浴びせられると、「わざわざそれを言う必要はあるのかな?」「なんでそんなことを言って相手を不快にさせるんだろう」と、気持ちがどっと落ち込むことがあるのではないでしょうか。

余計なひと言というのは、ふいに発せられることがほとんどです。もともと知っている人で、相手が自分に攻撃してくる恐れがあるとわかっていれば、身構えることができるでしょう。

しかし、そうでない場合は、まともにパンチをくらってしまいます。その分、攻撃力が強いです。私も、たまにそういう方に遭遇します。

例えば、先日こんなことがありました。

担当している企業で、健診結果の悪かった方をお呼びしたときのこと。血圧が非常に高かったため、生活面でいくつかアドバイスをさせていただいた後に、ひと言。

「先生も、これでお金をもらってますもんね」

少し「ん?」と思いましたが、たしかにその通りなので否定はしません。それに、こういう発言をする方にも、いろいろ理由はあると思うんですよね。

健診結果が悪いのはもう数字として出ているので、自分で見ればわかります。それなのに、わざわざ呼び出されて、ああしろこうしろと言われるのは気分が悪いというのは、なんとなくわかります。自分がわかっていることを人から指摘されるというのは腹が立つことでしょう。だから、何かひと言を言うことで、立場を同等にしたいという心理が働いているのかもしれません。

「医者なのに、ユニクロなんて安物の服を着るんですね」

あとは、こんなこともありました。

私はそれほど洋服に興味がないので、白衣も着ずに、ほぼ私服でみなさんの前に出ているんですけれど、それを見た会社員の方から、

「医者なのに、ユニクロなんて安物の服を着るんですね」

と。いや、「安物」はいらないでしょう、と思います(笑)

私は精神科医なので、精神的に不安定な方と接することには慣れていますし、いろいろな言葉をいただくことで、相手の状態をみることもできます。

だから、余計なひと言を言う人に出会っても、それほど気にはしませんが、読者の方の身近にこういう方がいて、それがしんどい場合は距離をとるのが一番です。

余計なひと言を発する人は、今後もずっとそういう人です。未来永劫、ふいに攻撃をしかけてきます。

だから、「なんでそんなこと言うの……」と真正面から受け止めて、イライラしたり、自分を顧みたりするのはエネルギーの無駄遣いに他なりません。なるべく関わらないようにして、放っておくのが一番ですよ。

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医

産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。