バブルのときに起きる2大社会現象

バブルの特徴として私は2つの社会的な現象を気にしています。それは経済誌やマネー誌ではなく、一般週刊誌や普段は経済の話なんか何も載せない、流行物を取り扱う男性誌や女性誌で株の特集をやったりすることが増えてくると要注意です。

リビングの机の上に置かれた複数の雑誌
写真=iStock.com/pinkomelet
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もうひとつは、評論家の中に株価の上昇を見て「今回だけは違う」と言う人が増えてくることです。市場がバブルで高値を付ける頃や逆に暴落して大底を付ける頃になると、だいたいこの“今回だけは違う”おじさんが登場してくるのです(笑)。

これは洋の東西を問わずあるようで、アメリカでも株価が低迷した70年代の最後のほうには総悲観の様相を呈してきて、Business Weekという雑誌の1979年8月13日号では、表紙に「Death of Equity(株式の死)」というフレーズが登場しましたが、現実はそこから株価が大きく上昇を始めた、というのも実に皮肉なことでした。そういう視点で見れば、まだバブルとまでは言えないでしょう。

日経平均にはまったく興味がない

でも恐らく、投資経験のある多くの人は「日経平均が3万円に乗った」というニュースを目にして「しまった! 乗り遅れた」とか「もう今から買っても遅い」と思っていることでしょう。確かに昨年のコロナ禍で一番下がった時の日経平均から見ると、倍近くまで値上がりしていますから、「乗り遅れてしまった」という気持ちになるのは無理もありません。

ただ、私自身は日経平均株価については全く気にしていません。というかほとんど何の興味もありません。なぜなら私は個別の株式に投資をしているからで、全体像を見ても何の意味もないからです。

そもそも日経平均株価というのは株式市場全体を表しているわけではありません。東京証券取引所第1部に上場している約2000銘柄のうちの225銘柄を選んで平均値を算出しているにすぎません。しかもその225銘柄の中でもファーストリテイリング(ユニクロ)やソフトバンクグループなどの寄与度が大きいため、ごく一部の銘柄の値上がりによって日経平均株価が上がっているのです。

現に日経平均が3万円に乗った2月15日には一日で564円上昇しましたが、そのうち、値上がりした上位10銘柄だけで上昇分の65%を占めていますし、前述の2銘柄(ユニクロとソフトバンク)だけで33%、つまりたった2つの銘柄の値上がりで全体の3分の1を占めているのです。したがって、日経平均株価に連動する投資信託を買っている人以外は日経平均が上がろうが下がろうが、それほど大きく気にする必要はありません。