小刻みなうなずきもオーバーリアクションもNG

今度はオンラインツールを利用したコミュニケーションにおいての「リアクション」についてポイントをご紹介していきます。モニター越しのコミュニケーションでは、対面以上にリアクションを大きくすべき、というのを聞いたことがありませんか?

桑野麻衣『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』(クロスメディア・パブリッシング)
桑野麻衣『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』(クロスメディア・パブリッシング)

オンラインでは五感のうちの視覚と聴覚の二感のみしか表現する手段がありません。対面の時以上に真っ先に視覚情報が相手に伝わります。相手が「この人は自分の話を聞いてくれているな、自分の存在を認めてくれているな」、と無意識のうちに感じられるように、安心感や安全であることを示すことが大切です。その「ココロ」を「カタチ」にすることを意識してください。

自然にできるのであれば、もちろん日頃の3倍程度のリアクションは心がけたいところです。表情やあいづち、身振り手振りなど、工夫できることはいくらでもあります。

わざとらしく、不自然すぎるオーバーリアクションをする必要はまったくありません。しかし、画面に映る自分の姿がまるで静止画のようにならない程度のリアクションは心がけましょう。

そういう意味でも画面上でも表情が見える程度の距離にカメラを設定しておくことが大前提です。

頻度も高く、最もすぐにできるリアクションの注意点を一つご紹介します。それは“うなずき”です。日頃からしているような、小さくて小刻みなうなずきはオンラインではまったく相手に伝わりません。

オンラインでのうなずきは「上下に・大きく・1回」

ポイントは「上下に(縦に)大きく1回」。それを少し意識するだけで、とても自然にわかりやすいリアクションができます。「目指せ! ワイプ芸人」なんて私はよく言っていますが、テレビ画面のワイプの中に映る芸人さんやタレントさんがお手本です。ワイプなので本編の邪魔にならない程度の自然なリアクションの大きさで、だからと言って興味がなさそうな態度もしていませんよね。ワイプはまさに声が聞こえないので、小さなワイプ画面の中の視覚的な要素だけで人柄を表現しているのです。改めてワイプ芸人さんのリアクション芸の素晴らしさを実感します。繰り返しますが、わざとらしさの残る不自然なリアクションは不要です。相手の集中力を削いでは意味がありません。

まずは簡単なうなずきの「上下に(縦に)・大きく・1回」を練習してみてください。ずいぶんと相手からの印象が変わるはずです。自然なワイプ芸人さんをぜひ研究し、技を盗んでみてくださいね。

桑野 麻衣(くわの・まい)
コミュニケーション講師

1984年埼玉県生まれ。学習院大学卒業後、全日本空輸株式会社(ANA)に入社。グランドスタッフとして、7年間で100万人を超えるお客様サービスに携わる。その後ジャパネットたかたや再春館製薬所グループ企業にて教育研修を担当し、独立。著書に『好かれる人の話し方、信頼される言葉づかい』『部下を元気にする、上司の話し方』『オンラインでも好かれる人・信頼される人の話し方』(以上、クロスメディア・パブリッシング)、『「また会いたい!」と言われる 一流の話し方』(明日香出版社)などがある。