人の話を聞く表情に生き様があらわれる

私たちはある時から人前で話す練習はするようになります。人前で失敗したくないと思い、練習することで「話す顔」は客観視する意識があります。それに比べて聞く練習をする機会はなかなかありません。自分の「聞く顔」を知っている人は少ないのです。

だからこそ、私は「人の話を聞く表情は、あなたのこれまでの生き様を表している」と思っています。見たこともない、学んだこともない無意識の表情ですから、人とどう接してきたのか生き様がそのまま出てしまうのです。

偉そうなことを言っていますが、私自身もまだまだ常に気をつけている身です。航空会社に勤めていた時、私は教育訓練インストラクターの立場を任されました。その際、まずは自分自身がお手本となることを求められ、自分の接客の様子を動画撮影してもらったことがあります。今でもその動画を見た時の衝撃を覚えています。お客様のお顔を見ている時はさすがに笑顔なのですが、予約情報などを確認しようと端末に目を向けた瞬間、ものすごく怖い無表情になるのです。そこそこ接客には自信のあった私ですが、すっかり自信をなくしてしまい、そこから常に目元と口角を意識するようになったのでした。

今でも人前で話す仕事をしているので、自分が話す時はもちろんのこと、参加者の方のお話を聞いている時こそ自分の表情を意識しています。

仕事柄、これまで多くの方たちの生き様とも言える、真顔や聞く表情を見てきました。そこで気がついたことをお伝えします。

オープンプランオフィス
写真=iStock.com/alvarez
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トップ1%しかできていないこと

三流とは「話す表情が聞く表情より生き生きしている」人。8割~9割近くがここに属します。

二流とは「話す表情と聞く表情に差がない」人です。1割~2割程度といったところでしょうか。

一流とは「話す表情よりも聞く表情が生き生きしている」人です。100名参加されている講演会場に1人いるかいないかの確率です。トップ1パーセントということです。

いわゆる経営者やリーダー層の人たちと接する機会が多くありますが、まさに一流の方にお会いした時は今でも感動します。きっと従業員の方や部下に対しても、このようにお話を聞いていらっしゃるんだなと想像がつくのです。

一流の人の割合は1パーセントと言いましたが、裏を返せば、聞く表情を磨くだけでトップ1パーセントに入ることができます。

そもそもオンラインでのやりとりは画面をオフにすれば良い、無駄なストレスをかける必要はないという声もよく聞きますが、私はそうは思いません。この変革のタイミングに自分のコミュニケーションの課題と真摯に向き合い、コミュニケーション力を向上させるきっかけにしてほしいと思っているからです。

これまでリアルなコミュニケーションではなかなか向き合う機会のなかった、自分自身の「人の話を聞く表情」を画面で確認してほしいと思います。話す表情の何倍もの時間、聞く表情を周囲に見せていることをぜひ覚えておいてくださいね。自分の生き様、これから変えていきましょう。