問いを投げかけ気づきを促す

コロナ禍のため、すべての打ち合わせはオンライン。毎週土曜日に2時間の定例会議を行いながら進めていった。チームビルディングやゴール設定では、質問を投げかけるなどして会話のファシリテーションを行い、「議論の動きが鈍って堂々巡りになりそうなときなどには、『このスピードで進めていて成果が出せますか?』という投げかけをしたりしました。みんなが漠然と感じていることを、言葉にすることも必要ですから」というが、チームが自走し始めたらほとんど発言せず見守ることを心掛けたという。

2020年9月の中間報告を経て、10月には、団体や社会課題の認知拡大施策の一環として、オンラインイベント(パラテコンドー教室や義肢についての講演)を開催。11月の最終報告会では、「団体および社会課題の認知拡大」「義肢レンタル事業立ち上げ・改善」「資金基盤の強化」という3つのテーマに対するアウトプットを報告することができた。

「ハビリスジャパンの方からは、『プロジェクト・デザイナーがいなければ、短期間でこれほどのアウトプットは出なかったと思う』とおっしゃっていただけました。チームのメンバーからも、『いいタイミングで問いを投げかけてもらい、議論の刺激になった。大きな気付きになった』など、感謝の言葉をいただきました。“1枚目の名刺”の仕事では、こんなに『ありがとう』と言われることはありません。とてもピュアな感謝の気持ちに触れて、ものすごく感動しました」

やりたかったのは、これだった

プロジェクト・デザイナーの経験で、「私がやりたかったことは、これだったんじゃないか」という気付きも得た。

実はこの役割は、本業のITコンサルタントと似たところが多い。システムエンジニアと違って、自分が手を動かして開発をするわけではなく、プロジェクトの目的やチームの方向性がブレないよう意識合わせを行い、遅延なく作業を進められるようコーディネートを行う。

「正直、転職活動時の第一志望はエンジニア職だったので、ITコンサルタントには、『なりたいと思っていたわけではない』という部分もありましたが、『なったからにはしっかりやってみよう』と、ある意味腹をくくることができました。それに、全体像を見ながらプロジェクトを動かしたり、チームのメンバーとコミュニケーションをとったりというスキルが自分の強みだということが、外に出てみて初めてわかりました」