自分で決めて考えられる子どもになる環境づくり

「自己表現」の機会に加えて、子どもが「自己決定」できるようにサポートしてあげることも大切です。子ども自身が自分の学習の環境づくりに積極的に参加したり、目標や学習プランを決定する機会を増やしていきましょう。

子どもの状況に合わせて段階立てて練習することが大切です。最初は次に取り組む問題やページの選択など、簡単な選択をさせることから始めます。徐々に難易度を上げて、学習の目標設定やそれに合わせた学習計画を立てられるようにサポートしていくのがいいでしょう。

また、個々の学習の場面でも、子どもに課題の選択肢を与えるなどして、小まめに決定の機会を与えていくことが効果的です。クラスの課題で自分のプロジェクトの題材を決められる。質問に答える時に前もって伝えられたいくつかの質問のリストから選べる。口頭で説明するか、書いて説明するか選べる。選択肢を与えて子どもが自分で選ぶ心の習慣をつけましょう。

自分の頭で考えられる子が育つ5つの質問

さらに、自分の頭でじっくりと考える機会をふんだんに用意しましょう。学んだ題材をじっくりと考えて、新しい問いを立て、さらに理解を深めていく。積極的な思考のくせをつけていくことが大切です。

例えば、子どもに、その日に学習したことを説明してもらい、質問を投げかけていくことで、じっくりと考える習慣やきっかけを引き出せます。

●「例えばどんなこと?」(具体例を考える)
●「どうしてそうなる?」(理由や根拠、前提を探る)
●「反対の意見はどんな?」(反対の立場を想像する)
●「似ているのはどこ?」「違うのはどこ?」(共通点や違いを見つける)
●「そうするとどうなる?」(帰結や結果を予測する)

こうした問いかけで、子どもの思考のきっかけを作ってあげましょう。また、子ども自身にもこうした問いかけができるように教えてあげましょう。

とはいっても、受験などで決まったカリキュラムを一定のペースでカバーしなくてはならない時、ついついじっくりと思考する時間を後回しにしてしまいがち。そうした教育環境では、子どもは受動的な学習姿勢に終始してしまいかねません。

できるだけゆっくりじっくりと考える時間を作ることで、子どもの考える力をサポートしてあげましょう。長期的にはよりよい結果につながります。子どもが主体的に問いを立てて、自分の頭で考えていく心の習慣を辛抱強く見守る覚悟がサポートする側の私たちに不可欠なのです。