子どもの主体性を引き出す毎日の習慣

子どもが間違いに萎縮しないように、物事に取り組む姿勢をほめるのと同時に、子どもが主体的に学べる機会を積極的につくりましょう。

星友啓『スタンフォードが中高生に教えていること』(SB新書)
星友啓『スタンフォードが中高生に教えていること』(SB新書)

自分の考えを表現できる。自分で予定やプランを決めて、自分の学びを舵取りできる。じっくりと思考できる。

これまでも述べたように、従来の講義ベースの授業に代表される学習環境は、受け身で学ぶ姿勢を促してしまいます。そのため、意識して、子どもが主体的に表現、決定、思考する機会をふんだんに取り入れることが理想です。

まず、子どもが自分の感じ方や考え方を表現できる機会を小まめに作りましょう。一方的にこちらから長々と話しかければ、必然的に子どもは受け身になってしまいます。あくまで、話し手は子ども。自分はうまい聞き手。

「アクティブ・リスニング」で、聞き手としても会話に積極的に参加しながら、子どもの話をまとめて繰り返したり、質問したり、共感を示したりすることで、子どもが自分の考えを表現しやすい対話を心がけましょう。

こちらが、説明すべきことがある時は、いくつかのポイントに分けます。ポイントごとの説明の後に、内容をまとめて繰り返させたり、その内容についての質問をさせたり、子どもが自分の理解や考えを表現できる機会をサポートします。

長い説明をして子どもが受動的な聞き手に回らないように、小まめに話す機会を演出して、自分と子どもの間で「アクティブな対話」ができるのが理想です。つまり、自分が話し手に回る時は、子どもの方に「アクティブ・リスニング」をさせるようにするのです。

その目的で、子どもに前もって、自分の説明の後に、コメントを準備させるのも効果的です。「まとめを繰り返してもらうから」「一つ質問してもらいます」などと伝えてから説明を始めます。子どもは目的を持って話を聞くことでより集中できます。

表現の機会はできる限り頻繁に与える

読み書きのコミュニケーションについても似たようなことがいえます。

いきなり本を一冊読んで、感想文を書けというのではハードルが高すぎる。そのため、章ごとに質問や課題を与えるなどして、できる限り頻繁に表現の機会を与えることが効果的になります。

また、読み書きを口頭のコミュニケーションと組み合わせるのも効果的です。生徒と「アクティブな対話」をしている時に、時にはあなたの質問に対する答えや、説明した内容のまとめを書き出してみる機会を作ってみるのもいい方法です。

実際の生活のコミュニケーション現場では、さまざまな表現のやり方が入り交じり、子どもたちはその中で適切な表現を選ばなくてはなりません。自分の考えや感じ方を表現する機会を通して、自分を表現する力を磨き、自分をより深く理解することができます。そうすることで、より積極的な学びの姿勢を養えるのです。