便秘の人が頼ることが多い、市販の便秘薬や、インターネットなどでよく広告を目にする便秘茶。便秘外来で多くの患者を診てきた医師の前田孝文さんはこれらについて、「安易に頼り過ぎない方がいい」と警鐘を鳴らします——。
※本稿は前田孝文『男の便秘、女の便秘』(医薬経済社)の一部を再編集したものです。
便秘薬との付き合い方
便秘薬は使い始めるとやめられなくなるから、できるだけ使わないという人がいます。くせになってしまうから使いたくない、そもそも薬を使いたくないという人も多いです。
それとは逆に、便が出ないとお腹がものすごくつらくなる、あるいは1日でも出ないととにかく不安だからという理由で、際限なく薬を使ってしまう人もいます。
ここでは便秘薬について正しく理解し、どのように向き合うべきかについて考えます。また、便秘に効果があると言われるお茶についても説明します。
知っておきたい2つの作用
便秘薬の作用は大きく二つに分けられます。一つは便を軟らかくすること、もう一つは大腸の動きを刺激することです。
軟らかい便が大腸に流れると、大腸の蠕動運動が活発になります。水分をたくさん摂れば便が軟らかくなりそうですが、実はそれだけでは難しいです。体内で水分が十分に足りていると、余分な水分は尿として排泄されてしまいます。腸の水分を増やして便を軟らかくしようとしても、体の仕組みはそうはなっていないのです。
逆に水分が足りない場合は、便に含まれる水分が腸から吸収され水分不足を補おうとするため便が硬くなっていきます。そのため大腸の動きが悪くなり、便が出にくくなります。
便秘にならないようにするためには水分をたくさん摂るほうが良いのは間違いありません。水分不足で便秘になっている人は水分をたくさん摂ると良くなります。しかし、その他の原因で便秘になっている時は、水分を摂るだけでは便秘は良くなりません。
便秘を良くするために、腸へ水分を連れてきて便を軟らかくすることが必要です。便秘薬の多くは、様々な作用で腸に水分を運んできて便を軟らかくします。