起業にはどれだけリスクがあるのか。経営コンサルタントの西村豪庸氏は「起業は10年間で9割が倒産するというのはウソだ。年商1億円、年収1000万円は決して難しくない。平均点30点のテストで10点を取るのと同じだ」という——。

※本稿は、西村豪庸著『SURVIVE 不確実性の高い新時代における生き残り戦略』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

大企業と大金
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サービスとは、高確率に賭け続けるギャンブル

飲食店でバーテンダーやギャルソン、ソムリエといった仕事をしていた当時、後輩に「サービス」という仕事を教えるにあたり、僕がよく言っていた言葉があります。

それは、「サービスとは、高確率に賭け続けるギャンブル」だということです。

たとえば、レストランに入店したお客様が、席につくなり、薬をテーブルの上に出したとします。そのとき「白湯さゆを持っていけば、必ず喜んでもらえる」と言い切れるほど、サービスは単純ではありません。

お客様としては、食後に忘れずに飲むためにとりあえず薬を出したのかもしれないし、薬であろうとも氷水で飲みたいお客様もいるかもしれません。そもそも薬を飲むところを見られたくないという可能性もあります。

しかし、白湯を持っていくことで、「ああ、この人は薬を飲もうとした私のことをわかってくれて、わざわざ白湯を持ってきてくれたんだな」と喜んでもらえる確率のほうが高いでしょう。そこで、僕は薬を取り出したお客様がいた場合は、いつも白湯を持っていっていました。

しかし、あるとき前述のように氷水で飲みたいお客様がいらっしゃり、「こんなに暑いのに白湯なんて持ってくるな! 頼みもしないのに!」とお叱りを受けたとします。

さて、次回また違うお客様がご来店したとして、このサービスマンはどんな行動をとるべきでしょうか。

僕が教えていたのは、それでも「白湯を持っていく」ことでした。

成功のポイントは「高い確率で喜んでもらえるか」

ここで、「白湯をやめて、次のお客様にも氷水を持っていく」ほうがしてはいけないことです。なぜなら、喜んでもらえる確率が低くなるからです。

100%確実に喜んでもらえるサービスなど、存在しません。人によっても、ときには同じ人でも、その日の気分やコンディション等によって、同じことをしても喜んだり悲しんだり、怒ったりする。人間とは、そういった生き物なのです。

あるのは「高い確率、期待値で喜んでもらえる」という行動のみです。

つまり、一度や二度、短期的に失敗したことを、長期的な行動指針に影響させるべきではないのです。

完璧なスイング、フォームをつくり込んだプロゴルファーと、適当なスイング、フォームのアマチュアゴルファーが勝負したとして、1ホールだけアマチュアゴルファーが奇跡のホールインワンでプロを下すことはあるでしょう。

しかし、18ホール続けて、適当なスイング、フォームでプロに勝ち続けられるか、18ホール通して評価したときに勝利をつかめるかといえば、その答えは否でしょう。

同じように、僕たちは、短期的な視点で自らの行動や結果を評価するべきではなく、その行動を続けていったとき、大数の法則(確率論の基本法則の一つで、ある試行を何回も行えば、確率は一定値に近づくという法則)に確率が集約したときに、プラスになっているかどうか、で行動しなければなりません。

そして、その視点からも僕は起業をして、長く生き残っていくことをおすすめしています。僕は起業と会社経営の経験をある程度積んできたので、少しは経験を話せるかなと思うのですが、結局、起業とは、期待値がプラスに歪んでいる状態なのです。