施設に入居する場合は入居先のケアマネジャーが担当者になるが、在宅介護の場合は市区町村窓口などでもらえる「居宅介護支援事業所一覧」から、事業所とそこに所属するケアマネジャーを選ぶことが可能。決定後は打ち合わせも多くなるため、自宅の近くや帰省の際に行きやすい事業所を選ぶのがおすすめだ。
「経験から言えば、ケアマネジャーは知識も豊富で頼りになる人がほとんど。事業所に払う費用にはそれほど差がないので、相性や得意分野を重視して選び、相談事・要望などは積極的に伝えましょう」
自分で支払うのは介護サービス費の1~3割
ケアプランが固まったら介護保険サービスの利用がスタート。毎月の支払いが始まるのはここからで、金額は利用するサービスや地域によって異なってくる。
まず押さえておきたいのは、表の「支給限度額」と「自己負担額」の関係。例えば、要介護3の人が月に20万円分のサービスを利用したとしても、支給限度額内なので実際に支払うのは2万円(1割負担の場合)で済む。
「介護サービスにかかる費用は支給限度額内に収まるケースが多く、実際に支払うのは比較的低い額で済むことがほとんど。自己負担割合も、日本では利用者の約80%が1割に該当するといわれています」
支給の対象になるサービスも、表の通り訪問介護から住宅改修までとかなり幅広く、介護保険の手厚さがよくわかる。ただし、要支援1・2の人は利用できるサービスがやや少なく、地域によっても異なってくる。
いずれにしても、介護にかかる費用を大きく左右するのは要介護度と自己負担割合。しかし、地域によって要介護度の認定にばらつきがあることが以前から問題視されている。また、国の給付負担が年々増加していることから、2021年の制度改正では自己負担割合が原則2割になる可能性も。介護への備えとして、こうした話題にも注目しておきたい。
在宅介護にかかる費用は実費や医療費をプラスして考えて
次に、在宅介護の費用について考えてみよう。表は、在宅介護で想定される介護サービスとその費用をまとめたもの。実際の額は症状や生活状況によっても変わるが、介護サービス利用費は月に1万~4万円ほどと考えてよさそうだ。
しかし、在宅介護では“介護保険外でかかる費用”が意外と大きい。例えば、デイサービスやショートステイ利用時の食事代などは実費。表の要介護3の例では、これが月1万円程度になる。家賃・光熱費・食費といった生活費や、遠距離介護の際の交通費も必要不可欠。さらに、忘れてはいけないのが医療費やオムツ代、福祉用具代だ。この3つは要介護度が上がるほど膨らむ傾向にある。