定年後に家計を悩ませるのが医療費や介護費の高騰です。マネーコンサルタントの頼藤太希さんは「世帯分離することで同じ介護サービスを受けていても、負担が月約2万~3万円減らせます」といいます――。

※本稿は、頼藤太希『会社も役所も銀行もまともに教えてくれない 定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)の一部を加筆再編集したものです。

ミニチュアの家をつまみ上げる手
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「高額療養費制度」は老後に頼りになる制度

病気やケガをして病院にかかっても、医療費の自己負担額は最大でも3割。年齢や所得によっては1割、2割で済むこともあります。なぜなら、健康保険に加入しているからです。窓口で保険証を提示すれば、医療費は大きく減らすことができます。

しかし、病気やケガの状態によっては、入院や通院が長引き、医療費が高額になってしまう場合があります。そんなときに役立つ制度が、高額療養費制度です。

高額療養費制度は、1カ月(毎月1日から末日まで)の医療費の自己負担額が上限を超えた場合に、その超えた分を払い戻してもらえる制度です。自己負担額の上限は、年齢や所得の水準によって変わります。さらに、過去12カ月以内に3回以上自己負担額の上限に達した場合は、4回目から自己負担額の上限が下がります(多数回該当)。

たとえば、年収200万円の人(70歳未満)の1カ月の医療費が100万円で、3割負担で30万円を支払ったとします。それでも、この人の自己負担限度額は5万7600円です。残りの24万円ほどは、高額療養費制度の申請を行うことで戻ってくるのです。