働き方改革や女性活用に取り組むワーク・ライフバランスは、新型コロナウイルスの感染が急拡大し始めた今年3月から緊急事態宣言が解除される5月までの間、霞が関の官僚たちの働き方について調査を行った。結果から見えてきた霞が関の「危機的な働き方」やその原因について、同社代表の小室淑恵さんに話を聞いた。

震源地の霞が関を変えないと、日本は変わらない

ワーク・ライフバランス代表の小室淑恵さん
ワーク・ライフバランス代表の小室淑恵さん(同社提供)

私たちが多くの民間企業の働き方改革を手掛けてきた中で、気づいたことがあります。それは、労働時間がどうしても減らない企業に共通しているのは、霞が関にある中央省庁と深い関わりがある業界が多いということ。国土交通省と関わりが深い建設業界、厚生労働省と関わりが深い医療業界……という具合に、行政とのやりとりが頻繁に発生する業界ほど労働時間が長い傾向があります。

民間企業は、自分たちでできる範囲の働き方改革は進めていますが、結局は効率化が進んでいない行政とのやりとりが大きなハードルになっています。金曜の深夜に来た依頼の締め切りが月曜日の朝だったり、大量の捺印が必要な書類やファクスのやりとりがあったり。さらに、行政とのやりとりが多いとその影響を受けて、社内にも同じようなヒエラルキーの文化のコピーを作ってしまう。そして下請け会社には、自分たちが行政から要求されたように、短納期を要求する傾向があるように思います。「震源地である霞が関を変えないことには、この国の働き方の文化が変わらないのではないか」と考えるようになりました。