オンライン会議1回だけで「デジタル化」自慢?
今回の調査では、霞が関でデジタル化が進まない、働き方が変わらないそもそもの原因が、この“ファクス86.1%”を強いている国会議員のいる永田町にあったことがわかりました。
台湾然り、シンガポール然り、他のアジア諸国の新型コロナの対応はデジタル技術を駆使していました。技術力だけを比べると、日本はそう劣っているはずはないのですが、国民の命を守ろうというときに、それをどう活用するかという最終判断する人たちがファクスを使い、官僚に出勤を強いている。そこが大きな差として表れたように思います。
私たちは、国会議員の変革を促そうと「せめてオンラインで会議ができるようになってください」という働きかけをしてきました。しかし、新型コロナの感染が拡大していた3月ごろ、地元の後援者とオンライン会議をして「デジタル化していますよ」おっしゃる議員さんがいたのにはがっくりしました。それは、有権者の支持が大事だから、何とかオンライン会議を実施したということだと思います。
でも「本当のデジタル化は、そうじゃないんです!」と声を大にして言いたい。官僚など、自分よりも立場が弱い人たちに対して、自ら「直接来なくていいよ。オンライン会議にしよう」と働きかけてこそ真のデジタル化です。
自由記述欄にはたくさんの議員の名前が
アンケートには、自由記述欄をたっぷり設けました。あえて「個人名は書かないでください」というただし書きは入れなかったのですが、みなさん、「どの議員がどのような対応をしていたか」をかなり具体的に書いてくださったんです。議員の名前までは公表しませんでしたが、デジタル化ができている議員とできていない議員で、二極化しているのがよくわかりました。
これには面白い反応がありました。調査結果を公表した直後の8月8日から10日の3連休に、議員の方々がツイッターなどで「今日はオンライン会議に挑戦しています」といった投稿をしている例がかなり目立ったのです。「私はちゃんとやっていますよ」とPRしているのですが、SNS上のコメントでは「え、今ごろですか?」「何を自慢してるんですか?」というコメントがついてしまっていました。
「官僚を呼びつけた議員名を公開してほしい」とか、逆に「次の投票の参考にしたいので、デジタル化が進んでいる議員の名前を公表してほしい」という声もありました。
「デジタル化が進んでいる議員」については、昨年から公開している「デジタル実践議員宣言」というサイトを参考にしていただきたいと思います。「議員自らが率先してデジタル化しているならば宣言してください」と呼びかけ、9月末時点で67人の国会議員が宣言しています。皆さんの投票行動の参考にしてください。
ここに名を連ねている議員のみなさんは、「デジタルツールを活用して自らWEB会議やペーパーレスを実践し、社会全体の働き方革新を推進します」という宣言をされています。それと同時に、「そう宣言しているくらいですから、まさか官僚に対面レクを求めたりはしませんよね?」と念押しする意味も込めています。