アラフォー世代のためのTikTok入門講座
【原田】僕は若者研究をしているので日々TikTokを研究していますが、今日はあまり詳しくないアラフォー世代の方と同じ目線で話を伺っていこうと思っています。
若者の間で「TikTok」が非常に人気ですが、TikTokって要は何なんでしょうか?
【小島】言うなれば“スマホ時代に動画でコミュニケーションを取るツール”。ショートムービーで双方向のやり取りができるのがポイントです。もう一つの要素が、スマホに特化し、縦型で短尺の動画フォーマットを持っているということです。
【原田】あれは若者世代だけが楽しめるものなんですか。
【小島】いや、そんなことはありません。海外では中国、インド、米国が利用者数のベスト3なのですが、中国では一日当たり6億人が利用するほど日常的に使われています。
日本においては若者がメインのユーザー層になってはいますが、
TikTokとYouTubeの決定的な違いとは
【原田】ところで、同じ動画サイト・アプリではありますが、TikTokとYouTubeではどこが違うのでしょう?
【小島】まずは双方向性です。YouTubeは発信者、つまり動画を作る人と見る人が分かれていたのですが、TikTokは誰もが動画の作り手となり、自分の動画を気軽にアップできるポイントが決定的に違います。若者の間では他のSNSでいうDM(ダイレクトメール)で動画を送り合ったり、非公開の身内でアップロードすることもあるようです。
【原田】YouTubeにはDM機能がないですもんね。TikTokがコミュニケーションツールになるというのはわかりますね。でも、なぜごく普通の若者が気軽に動画をアップできるのでしょうか。
【小島】TikTokは動画編集がしやすいんです。当初TikTokが日本で流行した理由は、「スマホで完結できて、手軽に動画編集できるアプリだから」。音楽も載せられるので、編集が必要なYouTubeと違って、「かっこいい」「かわいい」「おもしろい」動画がものすごく簡単に撮れます。撮影側の技術的な問題をクリアしたわけです。
【原田】なるほど。あと、短い動画が作りやすいという点も、流行した要素として大きい?
【小島】それはありますね。15秒という短さは絶妙です。たとえば、私は猫を飼っているんですが、猫の動画もTikTokなら気軽に作ることができるんです。自力で一から動画を作ったとしたら、音楽のつなぎ合わせなどは非常に難しいと思うんです。
【原田】人気TikTokerがYouTuberになると、うまくいく人も中にはいるけど、うまくいかない人も案外多いようですね。それは「15秒」と「編集のしやすさ」ということが動画を作る上で大変ハードルを下げる要素になっていて、逆にYouTubeの長尺のコンテンツを作るというのはハードルが一気にあがる、ということを表しているんですね。