動画編集には、どれくらいデジタルリテラシーが必要か
【原田】プレジデントウーマンオンラインの読者も、TikTokで動画を作ることはできますか?
【小島】リテラシーによるかもしれません。
【原田】どのくらいのリテラシーが必要ですか?
【小島】メルカリで出品できる程度のリテラシーがあれば、確実にTikTokも大丈夫と思います。
【原田】それはわかりやすい目安ですね(笑)。メルカリも出品が簡単であることを示すために(おそらく)、タモリさんをCMで使っていますが、TikTokも高齢者とまでは言わないけど、中高年でも投稿が簡単ですよ、というイメージがもっとつくともっと利用は伸びそうですよね。
YouTubeでは、たとえば石橋貴明さんが登録したときに利用者が増えるというように、プロが有利な部分があります。一方TikTokは無作為でプロ以外の動画も流れます。この点もユーザーを増やしている一因なのでしょうか。
【小島】はい。フォロワーが0人のアカウントでも、最初から200人程度に配信される仕組みです。たとえば猫の動画をアップすれば、システムの裏側の仕組みによって、猫好きに向けて優先的に配信されるようになっています。そこで「いいね」がたくさんつくなどリアクションが多かったものは、どんどん配信が広がっていくんです。ですから芸能人や有名ユーチューバーが必ずしも有利とはいえず、コンテンツの中身が良ければチャンスはあります。
【原田】普通のおじさんが急に思い立ってYouTubeをやって、全く再生されずに「アイタタ」なんてことが多くなっていますが、TikTokのほうが見られる可能性は上がるわけですね。
【小島】圧倒的に上がると思いますよ。
海外での新しい利用のされ方
【原田】米国では「Black Lives Matter」などTikTokの政治的利用もあります。コミュニケーション目的以外の利用方法がありますか。
【小島】インドは最近規制されてしまったのですが、教育のコンテンツが増えていました。たとえば「Excelの使い方」や「正しい英語の勉強方法」といった英会話のコンテンツが増えた時期があり、教育系のパートナー企業と提携したことによりいきなり2万本の教育動画がアップされたこともありました。エンターテインメント以外の利用が進んでいます。
米国ではミーム(meme)と呼ばれる遊び方が一般的です。もともとの動画があって、それを自分なりにマネやアレンジを加えながら編集して楽しみ、それがユーザーごとにどんどん派生して広がっていくようなものですね。たとえば、ボトルキャップチャレンジというペットボトルのフタを蹴って開けるという動画はいろんな人がマネをしたり、オリジナルの方法を試したりと、とても盛り上がっていました。実際に#bottlecapchallengeというハッシュタグは23億回も再生されています。一方で、社会問題を取り上げる人も多いですね。