今やもう、ダンスを投稿するためのツールではない
【原田】この間、中高年の人と話していたときにTikTokの話題が出たんですが、やはりその世代から見ると「音楽に合わせてダンスを踊っている動画が流れている」というイメージが強いんです。でも、今は料理動画も増えていて、コンテンツも多様になってきていますよね。「短いYouTube」といった形になってきている。
今の話を聞いていると、プロが作ったテレビ寄りのコンテンツを見るYouTubeに対して、TikTokは素人でもみんなが平等に作って楽しめるところが大きな違いということですね。
【小島】おっしゃる通りです。YouTubeは今後、インターネットのTV番組のような存在になっていき、もっとリッチなコンテンツになってくると思います。一方、TikTokは“Everyone is creator”という考え方。全員がクリエイティブな発想を持って、発信者側に回ります。プラットフォーム側の思想の違いが大きいと思います。
【原田】最近だと、どういう利用の仕方が増えていますか?
【小島】ノウハウ系ですね。たとえば、就活コンサルタントが大学生向けに情報を発信するというようなコンテンツが増えてますね。コスメであれば、C Channelを見ているような層が、メイクのビフォーアフターをよく見ています。C ChannelのほうもTikTokにアカウントを持っていて、130万フォロワーを抱えているんです。
TikTokが情報を得る場、日常をシェアする場として使われているようです。
【原田】小島さんはどんなふうに使われてますか。
【小島】猫の話ばかりで恐縮ですが、僕がTikTokを見ると猫の動画ばかり流れてくるんです。猫が好きなので猫の動画がレコメンドで流れてくるようになってるんですが、ここで流れてくる動画はほぼすべて一般人のものなんです。「子どもを撮る」「学校の生活風景を撮る」といった日常の動画をアップしている人が多いということは間違いないでしょう。
もう一つ増えてきているのはトップ芸能人の動画です。最近では、嵐がTikTok上でキャンペーンを行い、嵐の音楽に合わせてイラストを載せたりダンスをする動画が多数投稿されています。
【原田】YouTubeもツイッターもインスタグラムも、やっぱり、芸能人やインフルエンサーにフォロワーが集中しており、一般の人はお友達以外にあまり見られない構造になっている。でも、TikTokは有名人も一般人も同じように投稿しているし、ランダムに表示されるので、ある意味大変平等なプラットフォームだと言えるわけですね。