肩書きを忘れる場で先入観を捨てよう

そんな先入観をなくして交流するには、どうするのがベストでしょうか。

ただ話をするだけだと、どうしても余計な情報や肩書きがつきまとってしまいます。たとえば偉い人と話すと、なぜかその人の話をみんなでただただ聞くという構図になってしまいがちです。これは生まれ育ってきた環境からも、そのような立場への気遣いを完全になくすことは難しいのです。

けれども舞台を変えて、その偉い人も含めてみんなで牛の乳搾りをするとどうでしょう。

メンバーの中で誰も乳搾りが得意な人はいません。

ここでは特に上下関係は目立ってこないので、より自由な交流が生まれます。思い切りのいい人、用心深い人、ムードメーカー、真面目な人など、その人らしさが出てきます。

乳搾りはだいぶ極端な例ですが、「リアル脱出ゲーム」や「ボードゲーム」も、肩書きを忘れて自由な交流ができるゆえ、最近人気が出てきているとも分析されています。

みんな平等にちょっと苦手なこと、難しいことにチャレンジする。そんな交流をすると、より多くの気づきが得られるはずです。

トラブルがセレンディピティを生む

苦手なことをさらに進化させると「トラブル」とも言えます。

少し想像してみてください。映画『タイタニック』のように、船が沈没するトラブルがあってこそ感動する恋やドラマが生まれたりしますよね。

これは実際、とても理にかなっています。

たとえば突然、会社が停電になったとします。停電に慣れている人はそんなにいないでしょう。誰もが苦手な状況とも言えます。そんな時には周りの人の素の個性が出ます。年次が低かろうが、契約社員だろうが、みんなが今できることを必死に探して状況を解決しようと動くでしょう。そうしている内に、思ったよりも頼りになる人、そうでもない人、様々な人間模様が見えてきます。

人見知りだろうがなかろうが、この状況ではコミュニケーションをとらざるを得ませんし、そこで躊躇もしなくなっているはずです。

トラブルをたくさん経験した人は、先入観が減り、より多くの経験や信頼を得ていきます。

そう考えると、たとえトラブルが起きたとしても、それは気づきのチャンス、つまりセレンディピティとして捉えることで、人生が思わぬ方向に好転するかもしれないのです。