自己肯定感を下げる悪習慣3.姿勢が悪い
一般的に感情と行動が生じる順番について、まず何かしらの出来事やイベントがあって、例えば楽しい気持ちになると、笑顔が出てくると思われがちですが、実は逆であるとする説があります。
「ジェームズランゲ説」という有名な説で言うと、出来事があって、笑うから楽しくなるというもの。まず身体の変化があって、それから感情の変化が出てくるということです。
そう考えると、猫背で暗く元気がないようにしていると、本当に元気がなくなってしまう。また猫背は胸郭が狭くなるので、肺の動きが制限されて、呼吸は浅く速くなります。そうすると交感神経が刺激されて、緊張感が高まりリラックスできない。ピリピリとした状態が続きます。そんな余裕のない自分をいいとは思えないですよね。
自己肯定感を上げるには、できるだけ胸を張って深く呼吸をし、笑顔で過ごしましょう。
悪習慣を根元から断ち切る「自分年表」のススメ
以上は今すぐにでも解消に向けて取り組める「3つの悪習慣」でしたが、もっと根本的に解決していきたいという方には「自分年表」をつくることをお奨めしています。
子ども時代に育った環境が、大人になってからの自己肯定感に関係するのは冒頭でもお伝えしたとおり。親や先生の言ったとおりに歩んできた人は、会社に入れば上司の意見を採用するので、ずっと違和感やモヤモヤを抱え続けることになります。それが「ないものねだり」といった悪習慣につながっていくのです。
この問題を根本的に解決するために、過去を振り返って「自分年表」をつくるといいでしょう。年表といっても履歴書のようなもので、何歳で小学校に入って、何歳でピアノを始めて、と時系列で書き出していきます。
ポイントは、なるべくこまかく書くこと。ピアノを始めたなら、なぜこれを始めたのか、自分がやりたいと思ったのか、親からやれと言われたのか、友だちがやっていたからか、それを少しずつ分解していくと、自分がやりたいのではなく、親に言われてやったとか、友だちがやっていたからとか、そういった自分の考え方の癖が見えます。そうすれば、どこを修正していけばよいかがわかってきます。
生きづらさを感じている人は、ぜひ自分年表を書いてみましょう。きっと過去は過去、今を自分らしく生きようと思えるはずです。
写真=iStock.com
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。