リモートワークの急速な普及で、各企業では能力の評価基準が変わりつつあります。男性学の第一人者、田中俊之先生は「これまで有能感を持っていた年配男性が無能感を味わうようになる」と予測。その理由とは――。
がっかりするビジネスマン
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有能感を持っていた人ほど危ない

コロナウイルスの感染拡大とそれに続く緊急事態宣言は、多くの企業に業務のリモート化をもたらしました。その結果、職場ではITスキルや自己管理能力を持つ人の価値が高まりつつあります。

オンライン会議をスムーズに進められる人や、在宅勤務でも従来通り、あるいはより大きな成果を出せる人などが、高く評価されるようになってきました。こうした人たちは、ポジションに関係なく周囲から頼りにされるようになり、それに連れて職場での発言権も増しているように思います。

逆に、ITスキルが低い人や、会社にいることで「仕事している感」を得ているような人は、会社からも周囲からも評価されなくなり始めています。その多くが50代以上の男性で、管理職などある程度の地位を得ている人たちです。

彼らの中には、ITスキルがなくても、昭和の価値観のままでも、何とか定年まで逃げ切れるだろうと思っていた人も少なくありません。しかし、そうしたこれまでの環境は、突然のコロナショックで急激に変わってしまいました。

この変化によって、これまで「有能感」を持って働いてきた人ほど「無能感」を覚えるようになっていくのではないかと思います。「有能感」と「無能感」、この2つの感覚は、一体どこからくるものなのでしょうか。