コロナ禍で収入が急減した人のために、国は給付制度の要件緩和や対象拡大を実施している。つまり「申請すればもらえるお金」が増えているのだ。ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんが、勤務先の事情で働けなくなった場合に使える6つの制度を紹介する——。
解雇通知書類
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コロナ禍の失業給付は最大60日分増える

コロナ禍で休業を余儀なくされた、仕事を失ったという場合について、失業給付の制度が拡充されています。

まず、失業したケースについて見ていきましょう。

会社員だった人が失業すると、雇用保険から「失業給付」が受けられます。これは従来ある、おなじみの給付ですが、コロナ禍では特例が設けられています。

その1つが、基本手当の給付日数の延長です。

基本手当が給付される日数は年齢や働いていた年数などで決まります。例えば35歳以上45歳未満の人が10年以上20年未満働いた会社を退職した場合、失業給付が受けられるのは180日です。しかし要件を満たす場合は、給付が60日または30日、延長されます。

延長の対象となるのは、以下に該当する人です。

①~令和2年4月7日(緊急事態宣言発令以前)に離職した全受給者
②令和2年4月8日~令和2年5月25日まで(緊急事態宣言発令期間中)に離職した、特定受給資格者(倒産や解雇などで離職を余儀なくされた)、特定理由離職者(期間の定めのある労働契約で更新を希望したにもかかわらず更新されずに離職した人、転居や婚姻などにより自己都合で離職した人)
③令和2年5月26日以降(緊急事態宣言全国解除後)に新型コロナウイルス感染症の営業で離職を余儀なくされた特定受給資格者または特定理由離職者(雇止めの場合のみ)

緊急事態宣言発令前に離職した人も対象になっているため、コロナの影響で就職活動が滞った人なども対象になります。

なお、失業給付はもともと、働く意思といつでも就職できる能力があることが給付の条件であり、この延長でも、現実的ではない求職条件に固執する人などは対象外となります。

延長されるのは原則60日。ただし、35歳以上45歳未満で所定の給付日数が270日の人と、45歳以上60歳未満で所定の給付日数が330日の人は、30日です。