米国の吸収型生理用ショーツには不満だらけ

そんな二人が、生理用ナプキンの代わりになる、吸収型の生理用ショーツに興味を持ったのは、3年前のことだった。

当時米国ロサンゼルスに住んでいた高橋さんの周囲では、吸収型生理用ショーツが流行し始めていた。

MNC New York 取締役 高橋くみさん(写真=MNC New York提供)
MNC New York 取締役 COO/Bé-A Japan 代表取締役 COO 高橋くみさん(写真=MNC New York提供)

「急に生理が始まって、ひやっとしたことがある女性は多いと思います。会議の時にうっかり、ということもありがちです。しかも私たちのオフィスは白を基調としており、イスまで真っ白でした。白熱した会議の時にハッとすることも少なくなく、山本と一緒に『何とかならないかな』と話すこともありました」と高橋さんは言う。

高橋さんは、吸収型生理用ショーツを米国で購入して、他のメンバーに使ってもらったのだという。

しかし、海外で販売されている製品は期待外れなものばかりだった。日本の女性が求めているような、十分な吸収力のある製品は見当たらなかったのだ。そのうえ、何度か洗うと、縫い目がほつれて漏れてしまうなど、耐久性にも不満があった。

これは、生理の文化の違いのせいでもある。米国の女性たちはタンポンの使用率が非常に高く、生理用ショーツは補助的に履くものという位置付けであった。また、ピルを服用している女性が多いため経血量が少なく、生理周期も確実で、いつ訪れるともわからない生理におびえる必要もない。

こうした背景から、日本女性には物足りない製品しか売られていないということがわかったのだった。

ジェンダーレスとサステナブルをかなえる製品を

この製品があれば、必ず女性の幸せを高めるものになるはずだ。また、SDGs(持続可能な開発目標)の観点から考えても、ジェンダーレスを追求できる。さらに、女性は生涯で1万2000枚の使い捨ての生理用ナプキンを使用すると言われている。これを1枚で何度も利用できるショーツに置き換えることができれば、サステナブルな社会に貢献できるだろう。

そうした社会的インパクトのある製品がこの世にないのであれば、11年培ってきた自分たちの製品づくりのスキルを用いて、私たちが作り出せないだろうか――そこからこのプロジェクトは動き始めたのだった。

MNC New Yorkはファッションブランドを保有しており、製品開発のノウハウはある。しかし、下着というのは、その他の衣類よりももともと工程が多く、生産メーカーが限られる。それだけ複雑な製品であるため、ある程度の売れ行きが望めないものはそもそも作られることがない。

だからといって、妥協はできない。高橋さんをコンセプターとして、メンバー全員でどんな機能が必要かを喧々囂々けんけんごうごう議論した。山本さんが体の冷えを抑える機能は必ず必要だという考えから、それも仕様に盛り込み、すべてかなえてくれる生産先を探し回った。地域創生の観点から、国産にすることにもこだわっていたからだ。