利便性にプラスの効果を生む「ネットワーク外部性」

航空会社における国際的アライアンスの規模の比較
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航空会社における国際的アライアンスの規模の比較

日本の航空会社が加盟していないスカイチームは、日本人にはなじみがないかもしれないが、全日空が加盟しているスターアライアンスとほぼ同じ規模をもった国際的アライアンスであることは、表から明らかである。そして、これらの3つの国際的アライアンスの中では、規模のうえでは、ワンワールドが見劣りするのは否めない。

すでに06年8月14日号の「プレジデント」誌に書いたことを繰り返させていただくと、現代のように、航空サービスのグローバル化が進む中、その基盤となるシステムもグローバル化する必要がある。例えば、航空路のネットワークが国内だけではなく国境を越えて地球規模で構築されなければならず、グローバル・ネットワークの構築が各航空会社にとって必須となっている。航空業界においても、ネットワークのグローバル化が競争原理によって進んできている。

グローバル・ネットワークにおいては、ネットワーク外部性が作用するといわれている。ネットワーク外部性の「外部性」とは他人の行動が本人の利便性・効用にプラスの効果を及ぼすことを意味する。そして、ネットワーク外部性の「ネットワーク」とはその他人の人数が多ければ多いほど、プラスの効果が大きくなることを意味する。ネットワークがバイ(2つ)の関係をいわず、マルチ(多角的)の関係をいうように、ネットワークのマルチ化が進めば進むほど、そのプラスの効果は増大するのである。ネットワーク外部性が強く作用するのは、典型的には、航空業界のように人・モノの移動に関わる産業である。

世界の航空会社は、それぞれにハブ空港を有しており、そのハブ空港を中心にその国あるいはその地域に航路のネットワークを構築している。これらの航空会社が国際的アライアンスを締結して、お互いにネットワークを利用し合えば、自ら外国あるいは他の地域に新しい航路をつくらなくても、他の航空会社のハブ空港までつなげられれば、自らにとっても相手にとっても航路のネットワークが拡充することになる。