嫌われる上司は、意識が自分に向いている

では、部下の気持ちを察するには、どのような関わりが必要でしょうか。今回は、傾聴という、「相手の話の背景にある気持ちを聴く関わり」をご紹介します。傾聴には3つのポイントがあります。それぞれについて見ていきましょう。

ポイント1:自分ではなく、「部下に意識」を向ける

テレワーク環境下では、相手よりも自分に意識が向きがちになります。自分に意識が向いている状態とは、相手の話を聞きながらも、自分が気になる別のことを考えている状態です。WEB会議で相手が話している最中に、その内容の結末を予測して、次の質問を考えていることはないでしょうか。ここでは、よりイメージしやすいようにテレワーク環境下での上司と部下の対話例で、対比してみましょう。

自分に意識が向いている状態
【部下】A社の担当って、私じゃないと駄目でしょうか? 実は、A社のプレゼンについて、……
【上司】(たぶん、A社の担当が嫌だって言うんだろうな。どうすれば納得してくれるかな……)

部下に意識を向けている状態
【部下】A社の担当って、私じゃないと駄目でしょうか? 実は、A社のプレゼンについて、……
【上司】(A社のプレゼンについてか、部下の表情がつらそうだな。何が不安なのだろう)

自分に意識を向けて聞きがちな上司は、部下の想いや気持ちはもちろんのこと、話自体が耳に入っていません。上司は部下の話を聞いていると思っていても、部下からすると上司が話を聴いてくれないという現象の背景では、このようなことが起きているのかもしれません。部下に意識を向け続けるのは意外と難しいので、まずは自分の意識がどちらに向いているかに気付くことからはじめると良いと思います。