期待した「昇格」は中途採用者や後輩の手に

CFOへのはじめの一歩としてがむしゃらに働き、少しずつ自信をつけていった小沼さん。だが入社3年目、アナリストからアソシエイトへと昇進するタイミングで最初の挫折を味わった。

「担当していたプロジェクトが佳境に入った時、同じチームの上司が海外へ行くことになったんです。私としては、自分がその役割を引き継ぐものだと思っていたのに、新しく採用された人が任命されて……。ものすごく悔しかったです」

部活に例えれば、学年が代替わりして「今年は自分がエースだ」と思っていたところへ、外部からもっと強いエースが電撃移籍してきたようなもの。実力不足だと思われたのか、それとも意欲をアピールしなかったせいなのか──。受け身でいたらチャンスはつかめない、と実感した瞬間だった。

この経験を通して、次回からは自ら機会をつかみに行こうと決心。次に入社した人材サービス企業では、財務の経験を積みつつ、管理職へのステップアップに向けて自分から行動を起こした。

それは、同社の株式公開プロジェクトに携わっていた時のこと。小沼さんはプロジェクトの進行中に第一子を出産したが、誰かにポジションを奪われるかもという焦りから早々に職場復帰。その直後、上司に「育児で大変だったらプロジェクトから外れることもできるよ」と告げられた。

配慮からの言葉だったのかもしれないが、当時の小沼さんにとって「外れる」はありえない選択肢。仕事への意欲がメラメラと燃え上がり、上司に続行の意思をはっきり伝えたという。

その翌年、プロジェクトは無事に成功。意欲を持って取り組めたこと、証券時代の経験を生かして貢献できたこと、初めての育児と両立できたことなどから自信も生まれ、小沼さんにとっては大きな成功体験になった。

ところが、その後に待っていたのはまたしても挫折だった。はたから見ればこの成功で管理職への道が開けそうなものだが、目指していたマネジャー職には後輩が昇格。証券会社時代とまったく同じ悔しさを味わった。

そこで、今回はきちんと行動を起こそうと上司に直訴。管理職にチャレンジしたいという意思をはっきり伝え、そのかいあって財務グループのマネジャー職に昇格を果たした。

小沼さんのLIFE CHART