この20年で4回のビッグチャンスがあった

チャンスの扉は特別な人だけに開くものではないという。誰の前にも開いているのだが、ほとんどの人はその存在に気付かない。だから、扉をくぐることができないのだ。

実際にいつ、扉が開いていたのかをまとめたのが図表2だ。過去20年を振り返ってみると、扉は4回開いている。1999年に始まったネットバブルは「ドットコムバブル」とも呼ばれ、日本でもナスダックジャパン、東証マザーズといった新興企業向けの株式市場が開設された。

【図表2】過去20年にお金持ちへの扉が開いた時期

売り上げが数億円程度の新興企業もどんどん株式を上場して、創業者は莫大な利益を得たし、その企業の株式を購入した人も資産を増やした。

楽天はその代表例だ。2000年に株式を上場した後、03年初めくらいまで株価は100円前後で低迷していたが(分割を加味した株価)、04年末には1200円程度まで上昇した。約2年で12倍になった。

不動産ミニバブルが起きたメカニズム

2003年に開いたのは不動産ミニバブルの扉。日本では90年のバブル崩壊以降、不動産価格が下がり続けていた。加えて02年から03年にかけて米国発の不景気が世界を襲った。

日本もその影響を受けて株価が暴落し、金融機関の破たんが心配された。そこで金融機関「不良債権処理」の名目で大量の不動産を売却することに。市場には割安な不動産が出回ることになった。一方でバブル崩壊後の失われた10年から脱却するためさまざまな経済対策が打ち出され、金利は低く抑えられた。

金融機関は不動産投資家に積極的に融資した。また、01年には投資家から集めた資金を不動産に投資するファンド「J-REIT」が誕生して、不動産投資がしやすくなった。

結果「割安な物件」「積極的な融資」「不動産ファンド」の3つの条件が重なりミニバブルが発生した。

「新橋駅前で利回り15%のビルなど、現在では考えられない好条件の物件が出ていましたね」(藤川さん)