過去と比べる「期間比較」、同業と比べる「他社比較」

企業が金の卵を多く産むガチョウを持っているかを見極めるには、決算書の数値を比較してみるのがいい。

「その方法には期間比較と他社比較の2つがあります」

金のガチョウを見分ける2つの比較

期間比較(図右)は、同じ企業の数値で過去と現在を比較する方法。たとえばコンビニエンスストアの「ローソン」の5年間の数値を見ると、売上高は右肩上がりで伸びている一方で経常利益率が徐々に下がっていることがわかる。事業規模は拡大しているが、何らかのコストが余計にかかるようになっていると推測できる。

他社比較(図左)は、同じ業界の競合他社と数値を比較すること。業界トップ、中堅、下位それぞれと比較するといい。トップはセブン-イレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングス。経常利益率を比較すると、中堅のローソンのほうが優れていることがわかる。下位のミニストップやポプラはマイナスになっており、苦戦。ここ5年間で経常利益率は下がってきているが、ローソンは金の卵をたくさん産むガチョウを、業界で最も多く持っているといえるかもしれない。

柴山政行
柴山政行(しばやま・まさゆき)
公認会計士・税理士
柴山会計ラーニング代表。1965年生まれ。埼玉大学経済学部卒業。92年、公認会計士2次試験に合格。センチュリー監査法人を経て98年に柴山政行公認会計士税理士事務所を開設。小中学生から始められる会計・簿記教育「キッズBOKI」のメソッドを開発。
向山 勇(むこうやま・いさむ)
ライター