相手の好みや条件に合う店で、心づくしの接待を

相手の立場や好み、会社の社風を最大限考慮して、それにふさわしい店をチョイスする。「ランチタイムを利用して下見することも。ディナーメニューや飲み物、化粧室への動線、店のホスピタリティーをチェックします」(石川さん)。「関連会社など、先方が使ってほしいと思っている店がある場合も」(一栁さん)あるので確認しておこう。

海外ゲストには「宗教上やグルテンフリーなどの制約をお持ちの方がいるので、そういう条件にもしっかり対応してくれる店を選ぶようにしています」(坪井さん)。

一流ホテルのレストランや老舗の超有名店は、接客レベルが高く、安心して使えるのがポイントだ。「シェフや女将、ソムリエなどがお店のことや地産食材などを説明してくれたり、会話が途切れたときに適度に話題を提供してくれると、おもてなしのレベルが上がります」(斎藤さん)。接待慣れしたゲストには、話題性のある店での接待も喜ばれる。「信頼できる食通の方のSNSをフォローするのもおすすめ。接待に使える店の最新情報がキャッチできます」(安森さん)

お店の下見チェックポイント

相手にとって“よい話題”や、興味が持てる話を持ち出す

もてなしが接待の目的なので、先方が楽しく会話に参加できる話題を提供するのが鉄則だ。ビジネスの話題よりも、お互いの距離感を縮められるような一般的な話題、興味を持ってもらえる会話を心がけるようにしたい。「相手の方にもよりますが、一般的に大企業の方になるほど、接待の席で仕事の話は避ける傾向があります。親密な雰囲気で具体的な仕事の話をしたいという場合もあるので、相手や状況に合わせてケースバイケースで対応を」(西出さん)

会話の糸口で無難なのは、天気や時候の話題。家族などプライベートな話は先方に聞くのではなく、自分のことを話して相手の反応を見る。「業務でも個人的なことでも、相手にとってよい話やおめでたい話は話題にするようにします」(SOMPOひまわり生命保険・常務執行役員東京統括部長・野間和子さん)

目の前の料理やお酒も、会話の糸口だ。料理長や女将が挨拶に来たり、店のスタッフが説明をしてくれると、話も広がりやすい。タイミングも含めて、事前に店と打ち合わせておこう。また、接待する側で、この話題にはこの人間など、役割分担しておくのもおすすめだ。