接待の成功は、事前準備にあるといっても過言ではないほど。女性リーダーたちがこっそり教える、一流のポイントとは。
接待で楽しく会話をする人々
イラスト=中嶋クミ

食の好みやこだわり、趣味などの情報も収集

接待が決まったら、まずは先方の好みをできるだけ調べる。食べ物の好みやアレルギー、食へのこだわりなども知っておくとよい。「ざっくばらんな雰囲気が好きか、比較的格式のある店が好みかもわかっていると、店選びに役立ちます」(SOMPOひまわり生命保険・執行役員千葉統括部長・斎藤朱織さん)。喫煙不可の店も多いので、相手が喫煙者かどうかも確認を。逆に接待を受ける際は、苦手な食材などを事前にはっきり伝えるようにしたい。

当日の話題づくりのために、相手の企業や本人に関するビジネス情報はもちろん、できる範囲で趣味などの情報も集めておくようにする。

▼これだけは調べておく
・食べ物の好み、苦手なもの(アレルギーなども要確認)
・お酒を飲む、飲まない。好きなお酒の種類
・ゲストの趣味
・相手の会社や業界の最新情報

相手の好みや条件に合う店で、心づくしの接待を

相手の立場や好み、会社の社風を最大限考慮して、それにふさわしい店をチョイスする。「ランチタイムを利用して下見することも。ディナーメニューや飲み物、化粧室への動線、店のホスピタリティーをチェックします」(石川さん)。「関連会社など、先方が使ってほしいと思っている店がある場合も」(一栁さん)あるので確認しておこう。

海外ゲストには「宗教上やグルテンフリーなどの制約をお持ちの方がいるので、そういう条件にもしっかり対応してくれる店を選ぶようにしています」(坪井さん)。

一流ホテルのレストランや老舗の超有名店は、接客レベルが高く、安心して使えるのがポイントだ。「シェフや女将、ソムリエなどがお店のことや地産食材などを説明してくれたり、会話が途切れたときに適度に話題を提供してくれると、おもてなしのレベルが上がります」(斎藤さん)。接待慣れしたゲストには、話題性のある店での接待も喜ばれる。「信頼できる食通の方のSNSをフォローするのもおすすめ。接待に使える店の最新情報がキャッチできます」(安森さん)

お店の下見チェックポイント

相手にとって“よい話題”や、興味が持てる話を持ち出す

もてなしが接待の目的なので、先方が楽しく会話に参加できる話題を提供するのが鉄則だ。ビジネスの話題よりも、お互いの距離感を縮められるような一般的な話題、興味を持ってもらえる会話を心がけるようにしたい。「相手の方にもよりますが、一般的に大企業の方になるほど、接待の席で仕事の話は避ける傾向があります。親密な雰囲気で具体的な仕事の話をしたいという場合もあるので、相手や状況に合わせてケースバイケースで対応を」(西出さん)

会話の糸口で無難なのは、天気や時候の話題。家族などプライベートな話は先方に聞くのではなく、自分のことを話して相手の反応を見る。「業務でも個人的なことでも、相手にとってよい話やおめでたい話は話題にするようにします」(SOMPOひまわり生命保険・常務執行役員東京統括部長・野間和子さん)

目の前の料理やお酒も、会話の糸口だ。料理長や女将が挨拶に来たり、店のスタッフが説明をしてくれると、話も広がりやすい。タイミングも含めて、事前に店と打ち合わせておこう。また、接待する側で、この話題にはこの人間など、役割分担しておくのもおすすめだ。

NGワードは事前に必ず確認

ほかにも、「出身地や出身校の話はとても盛り上がるので、差しつかえのない程度に事前に調べておくようにしています」(あいおいニッセイ同和損害保険・理事広報部長・伊達聖子さん)や、「最近のビジネスシーンで話題の『VUCA(※)』『AI時代こその人間らしさ』『サイエンス×アート』『リベラルアーツ』などのキーワードは、学びも多く、有意義な会話が楽しめます」(坪井さん)といった声も。最近読んだ本なども、お互いが興味を持って話せる話題となる。もちろん、「NGワードは事前に必ず確認」(一栁さん)しておく。

トラブル対応で開く接待もあるが、「正式なお詫びはすませているはずなので、接待ではその話を蒸し返さないほうがいいでしょう。前向きな明るい話題で、関係を仕切り直す場に」(西出さん)。

※VUCA=Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字。

こんな話題は……OK/NG