多様性を教えるのも親の役目
今まで出会った夫婦を見ても、男性の家事に関する行動を変えさせるのは、女性にはなかなか難しいかもしれません。女性がこれをやろうとすると、すべて「恨み節」になってしまいますから。「どうしてできないの?」「どうしてやってくれないの?」「何、この皿の洗い方は!?」……となる。結局、夫の方は「じゃあオレはやらない。この家は妻1人で回るんだからな」となってしまいます。
女性の側もジェンダーバイアスを捨てなくてはいけません。「家事は私がすべてメインでやるもの」と思い込んではいないでしょうか?
確かに夫がやるより自分でやるほうが速いしうまいかもしれないけれど、それではいつまでも楽になれません。しかも、子どもたちにまでジェンダーバイアスを刷り込んでしまうことになります。
女性の中には、「子どもが学校から帰ってきたときに『お帰り』と言ってあげたい」という人がいますが、わが家は妻が会社員なので、平日はだいたい僕が家にいて子どもを出迎えます。小6の息子はよく、友達を連れてくるのですが、先日は息子の友達が「なんで安藤の父ちゃんって家にいるの? 普通、父ちゃんってこの時間働いてるんじゃない?」と言っていました。「オレはもう午前中しっかり働いてきたから、今家にいるんだ」と説明したんですが(笑)。
こういう男性もいるんだ、世の中には多様な生き方や選択肢があるんだということを、子どもたちに知ってほしい。だから家庭内のダイバーシティも大事。多様性を教えるのも親の役目だと思います。
男性は、「MBAよりPTA」
PTAが女性ばかりというのも、子どもたちにバイアスを刷り込んでしまうことになります。それに、男性こそ、どんどんPTAに参加すべきです。
12年前になりますが、僕は、まだ大企業で働く会社員だったときに、子どもの小学校で2年間PTA会長を経験しました。その時、会員全員にアンケートをとって、それまで平日にやっていた会議を、半分平日、半分土日に変えました。そうすると、会社員も出席しやすくなり、役員に男性が3人入ってきました。子どもの教育や地域に関わりたいという男性は結構いるんです。
ファザーリングジャパンでは、みんなにPTA役員になることを勧めています。会員のパパで、今年度は40人くらいがPTA会長をやっています。僕は「MBAよりPTA」と言っているんです。お金をかけて行くMBAよりもずっとダイバーシティマネジメントの勉強になります。会社の社長は簡単にはなれませんが、PTAの会長なら手を挙げるだけでなれます。個性的で、多様な保護者たちがあつまるPTAをまとめ上げられたら、多様性推進や女性活躍推進の名マネジャーになれますよ。