「女性はえらくなりたがらない」は、真っ赤なウソ
ダイバーシティ推進は、どこの会社も「やる」とは言います。でも、よく聞くのが「やりたいけど、管理職に適した女性人材がいない」「女性はえらくなりたがらない」という話。どちらも真っ赤なウソです。
とにかく男性は、既得権を手放すのがイヤなんです。女性を登用すれば、自分が今持っている肩書や権力が脅かされるかもしれない。優秀な人はそんな心配をしませんが、能力がない男性は、優秀な女性が管理職に登用されたらはじき出される可能性があります。だからこうしたウソのエクスキューズ(言い訳)をして、ダイバーシティ推進をしないわけです。
トップがやれば、抵抗できない
結局、トップ次第だと思います。トップが強い意志を持たないと、ダイバーシティは変わりません。下から変えようとしても無理です。
私はジョンソン・エンド・ジョンソンでもカルビーでも、いつまでに何をどれだけ実現するか、目標を決めてどんどん進めました。反発する人には「イヤなら辞めたら?」でした。トップが「ダイバーシティを推進する」と言えば反論できないでしょう。「女性を登用すると自分のポストを取られるからイヤだ」とは言えませんからね。
ジョンソン・エンド・ジョンソンでもダイバーシティを進めましたが、それはまだ完璧とは言えませんでした。女性の登用はしましたが、女性が活躍できる環境を作るための制度は完璧ではなかった。しかしカルビーでは、日本企業としては珍しく、環境を作るために制度まで変えました。会長就任翌年の2010年4月にわずか11人、全体の5.9%しかいなかった女性管理職は、辞めた年の2018年4月には73人に増え、比率は26.4%になりました。結婚や出産で辞める女性もほとんどいなくなりました。