無意識にスマホに依存するスマートでない人々

他にも、知らず知らずの間に、がっかりな印象を相手に与えてしまっているケースは少なくありません。

近年だと、とても危険なツールといえるのが、スマートフォンです。誰もが当たり前のように持ち、当たり前のようにどこでも操作をしているわけですが、人前でスマホを操作するときは、やはり気を付けたほうがいい。

木暮桂子『印象はしゃべらなくても操作できる』(サンマーク出版)

セミナーの登壇者が、座談会中にスマホを見ていた、という話も聞いたことがありますが、とても驚きました。目の前で登壇者がスマホをいじっているなんて、聞いている立場からしてみると心地良いものではないでしょう。

もはや、常にスマホを手に持っているのがクセになってしまっている人も少なくないようです。無意識のうちに、スマホを取り出して見たり、触ったりしてしまう。

しかし、その無意識が恐ろしいところなのです。それを目の前でやられると、とても不快な気分になる、という人も少なくないからです。

しかも、「スマホ首」とも呼ばれていますが、スマホを見るときには首も目線も下を向いてしまって、正直、かっこいいといえる姿ではない。ましてや、ニヤニヤしながら見ている姿というのは、本当に心地悪い。本人はなんとも思っていないかもしれませんが、周りからはまったくスマートに見えないのです。

大切なのは外からどう見えているか

印象を抱くのは、あくまで相手。その現実を、ぜひ知っておいてください。

もしかすると、十年後には誰もそんなことを気にしない世界、当たり前のように人前でもスマホを見る世界が来るのかもしれませんが、少なくとも今は違う。

これは会議やミーティング中も同じです。中には机の下で、バレないだろうとこっそりいじっている人もいるようですが、先にも書いたように話者からすれば、ほとんどすべてが見えているといっても過言ではないのです。

たくさんの人が聞いているから、自分一人くらいは見つからない、というのは勝手な発想です。思い切りバレていることに気付いておく必要があります。

会社の同僚や仲間たちと食事したり、飲みに行ったりするときも、同様です。人がしゃべっているのにスマホにばかり目を向けていたら、気分が悪いことこの上ない。自分をコントロールできないスマホ中毒と受け取られても仕方がありません。

外からどう見えているのか、よく考えてみることです。

木暮 桂子(きぐれ・けいこ)
ビジネスアピアランスコンサルタント/ディグニータ代表取締役

大学卒業後、シンガポール航空に入社し、キャビン・アテンダントとしてシンガポールに駐在。在職中にhigh achiever of compliments(年間を通じてお客さまからの感謝状が多かったクルーに対して授与)のトップ10として表彰される。その後帰国し、グロービスの創業期から現在のグロービス・マネジメント・スクール、グロービス経営大学院の立ち上げに関わり、東京校のスチューデント・オフィスの責任者として戦略立案、マーケティング、営業全般に広く携わる。また法人向け研修としてビジネスアピアランス・スキルトレーニングプログラムを開発、自ら講師を務める。現在はディグニータにて多くの経営者、政治家、コンサルタント等をクライアントに持ち、パーソナルブランディングやスピーチトレーニング、非言語コミュニケーションのコンサルティングを行う。これまでにのべ数万人以上の「ビジネスアピアランス強化」を実施。「見た目」を整えることで「印象が大きく変わった」「評価されることが増えた」という声が多数寄せられている。著書に『ビジネスという勝負の場は一瞬、しかも服で決まる』(ダイヤモンド社)がある。