育児に関わる新しい制度をフルに活用している人はまだ少ない。1つのロールモデルとなれるような働き方をしたいと藤原さんは話す。
産休・育休明けすぐに通常勤務に戻る
産休・育休明けすぐに通常勤務に戻るという働き方を選択できるのも同社の強みだ。経営企画部で全社対象の戦略的プロジェクトに携わる鞍掛朋子さんも実践者の1人。働き方改革を推し進める当事者だ。
「職場復帰したのは子どもが生後7カ月のとき。母親になっても仕事への意識や役割期待は変化していないですね。ただ、男性管理職が主体の部署で、乳幼児を育てながら経営戦略プロジェクトを担当する女性管理職は、私が初めてかもしれません」と鞍掛さんは想像する。
だが、子育てには感染症の流行など予期せぬ事態が起こる。そこはスーパーフレックス、どこでもオフィスなどの制度をフル活用。
「管理職は育児短時間勤務の対象外なのですが、『いつでも』『どこでも』働ける施策を活用すれば、定時終了で保育園のお迎えも可能です。子どもが病気になり、オフィスに出社できないときでもリモートワークやWEB会議などで対応できるので、働き方の自由度は飛躍的に上がっています」
復帰直後はマミートラックに乗ってしまうのではという心配もあったという鞍掛さん。自身の積極的意思と得意分野での貢献を心がけ、変わらぬ役割を得ていると語る。
「制度や周囲の理解を享受するばかりでなく、職場の仲間に対してギブ&テイクの関係を築き、ライフイベント前から自分の信用残高を積み重ねておくことが必要」。鞍掛さんはそれを体現していた。
2016年にテスト運用を開始し、17年4月に導入したテレワークの呼称。顔を合わせないと仕事ができないという概念を取り払い、場所や時間帯を問わない、文字どおり仕事はどこでやってもよいという柔軟な働き方を進めた。ルール規定も緩和され、原則週1回の出社以外は利用制限なし。現在は契約した社外サテライトオフィスも使用できる。前日までに申請が必要。
女性人財の育成委員会
女性管理職層を深めるために2017年に立ち上げた施策。女性の登用計画およびキャリア形成に向けた具体的な支援を行う委員会として設立された。同社では19年5月に発足した「30% Club Japan」のメンバーとして、将来的に女性の管理職、経営を担えるグローバルな「人財」をより増やし育て、女性役員比率のさらなる向上をめざしている。
撮影=田子芙蓉