様々な結婚や家族の形が考えられるようになった今、ヨーロッパの富裕層たちはどんな結婚観を持っているのでしょう。モナコで結婚し、家族を持ちながら、世界を飛び回る著者が、経験に基づき解説します。
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女性が活躍する国の結婚観とは

女性が様々な分野で活躍している国は、結婚や家族に対する考え方がオープンです。先日フィンランドで誕生した世界最年少の女性首相、サンナ・マリン氏34歳は、“レインボーファミリー”と呼ばれる、母親とその女性パートナーの同性カップルの家庭で育った、とても新しい価値観を持つ女性です。サンナ・マリン氏が社会民主党の党首となれば、フィンランド連立政権5党の党首は全員女性で、マリン氏を含む4人が35歳以下となります。

フランスもヨーロッパの中で、いち早く女性の立場の確保や独立の主張を求めた国です。1980年代まで日本とフランスの女性議員比率はほとんど差がありませんでしたが、フランスの現在の女性議員比率は約40%で、政治への女性参画が拡大しています。衆議院議員に占める女性の割合は約10%という日本とは大きな差が開いています。

このような女性活用先進国の男性は、保守的な日本人とは違った恋愛観、結婚観を持っています。私の場合、例えば、フランス人の夫が大型バイクを運転するのでいつも後ろに乗っていました。遠出のツーリングにも行きました。するとあるとき、「ここは日本ではなから、僕の後ろにいる必要はないんだよ」と言ってきたのです。それは「後部席に乗るだけでなく、自分で運転して、一緒に並んで走ろう」という意味だったのです。その言葉を聞きハッとさせられました。女性だからバイクの運転は危険、だから後ろに乗る、ということは求めず、むしろ横に並んで一緒にツーリングを楽しもうという発想なのです。私はそれからパリで大型バイクの免許を取得し、夫と一緒にヨーロッパを大型バイクでツーリングするようになりました。さらに、彼の勧めでそのとき撮った写真を日本のバイク雑誌社へ売り込み、連載を持つようになりました。さらに編集長と一緒にアメリカのミルウォーキーへ取材に行くチャンスも手に入れました。私にとって、思いがけない展開となったのです。

女性が自立していくと、受け身の立場だった女性が結婚生活を我慢しなくても、行動できるようになりますし、離婚も増えます。現在は離婚率が国全体では3割、パリでは5割といわれるフランスですが、1973年の離婚率はわずか7%でした。エリート女性だけに限りませんが、離婚が増えたことは決してネガティブなことばかりではなく、生きていくうえで結婚というかたちにこだわらず、愛や自分の気持ちに正直に生きる選択ができるようになった結果ではないでしょうか。