全社員の働き方改革から女性活躍推進を図る ―味の素―

「ダイバーシティを推し進めるには、女性や国籍、専門性など多様な人材の個々のキャリアをつなぎ、生かす仕組みづくりと組織風土づくりが不可欠です。そのために、特定の女性だけにとどまらない、全社員を対象とした働き方改革が必要でした」

味の素 人事部 労政グループシニアマネージャー 健康推進センター 菊地さや子さん

そう語るのは味の素の人事部で労政グループシニアマネージャーを務める菊地さや子さん。同社は現在までに「いつでも」「どこでも」働ける施策を数多く制度化してきた。

同社が特に「女性活躍」を意識し始めたのは、味の素・ウーマンズ・カウンシルの活動をもって行われた2016年4月の経営答申だった。

「そのときに出た課題が、女性管理職は遠い存在で身近に感じられないこと、そして、女性管理職自身も男性に囲まれマイノリティーな存在の中で悩んでいることだったのです」

その頃行った意識調査では、「この会社では従業員が性別に関係なく活躍できている」という設問に対して、ポジティブ回答をした女性管理職は39%。一方の男性管理職は67%で、男女間の意識の差は歴然だった。

また当時は、出産・育児での退職は少なくなっていたものの、配偶者の転勤、転居を伴う結婚が退職理由の約半分を占め、特に全国転勤を伴う営業女性の離職率が高かった。世の中の流れも共働きが当たり前となる中、それだけキャリアかライフかを悩む女性も多かったのだろう。