もっとも、こうした「給料デフレ」は全サラリーマンに平等に働いているわけではない。

年収別給与所得者数の変化

年収別給与所得者数の変化

02年から06年までわずか4年の間に、年収200万円以下の低収入層が急増し、反対に、年収300万円から1000万円以下の中間層は目に見えて減少している。これだけを見れば「中間層が全体に収入を減らしている」と読めるが、一方で、1000万円超の高収入層もわずかながら増加している(図参照)。

200万円以下か、さもなければ1000万円超か――。中間層の分厚さが特徴だった戦後日本のサラリーマン社会は、下と上とに分離しつつある。

しかも、全体的には下押し圧力のほうが強く、「上」へ上がれる人はごくわずか。現実には、現状を維持できればよしとしなければならないだろう。

では、砂漠の流砂のような給料の下押し圧力に負けないためには、どうしたらいいのか。以下、「格差」の実像をのぞいてみよう。

男女別の平均年収/企業規模別の平均年収

男女別の平均年収/企業規模別の平均年収

まずは、就職先の格差である。企業規模別の平均給与を比較すると、当然ながら「大企業ほど給料が高い」ことがよくわかる。

従業員1000人以上の大企業は629万円であるのに対し、10~99人の中小企業では390万円と、239万円もの格差がある(図参照)。

同じ企業に勤めていても、幹部候補である大卒や大学院卒と、高卒や中卒とでは給料にも差ができる。ここまではある意味で常識だが、実際に学歴別の賃金カーブを目の当たりにすると、学歴間で想像以上の格差が設定されていることに気づかされる(次ページ図参照)。

もう一つ明らかになるのは、ここ10年ほどで成果主義の導入が進んだといわれながらも、実際には年功型の賃金カーブが温存されているということだ。とりわけ男性社員の賃金カーブは、学歴を問わず50歳前後をピークに放物線を描くようになっている。

簡単にいえば、子どもの教育費や家のローンなどで物入りになる年代に厚く報いようという仕組みである。背後にあるのは、成果主義とは無縁の生活給的な考え方だ。