「多様性」のあるチームづくり

さまざまな個性が集まった「多様性」のあるチームづくりをして、その中で個性を響き合わせることでお互いを刺激し、ユニークな資質を補い合ったり高め合ったりして、結果を出すということが求められている。そのようなチーム構築の1つのモデルケースとして、パーティーの招待客リストを考えることは有効だ。

実際に幹事さんをやる機会がないという人でも、頭の中で、「このような招待客でパーティーをやったら面白い」というリストを作ってみるのもいい。いわば、「ファンタジー・パーティー」の構成メンバーを考えることで、個性を活かしたチーム構築のシミュレーションができるのだ。

ところで、これは見落とされがちなことだけれども、1つの大学が入学者を選抜するときにも、実は似たようなセンスが求められている。

アメリカのハーバード大学などの入学者選抜のポイントの1つは、「多様性」にある。似たような資質の学生ばかり集めるのではなく、さまざまな個性を持った新入生を選ぶことで、大学としての付加価値、シナジーを演出する。

大学とは、いわば、「4年間続くパーティー」のようなものである。どのような構成メンバーにしたら、異なる個性の間でケミストリーが生じて、学びが起こり、人間関係が発展するか。チームとしての一体感と、彩りのあるダイナミクスが生まれるか。そのあたりのことをアメリカの一流大学は目指している。

アメリカでは、たとえば2020年に卒業する学生たちをまとめて「クラス・オブ・2020」と呼ぶ。つまりは「クラス・オブ・4年後」をどのようなかたちにするかをイメージして、入学者選抜をしていくのである。

ペーパーテストの点数が重視されてきた従来の日本の大学の選抜では、大学を「4年間続くパーティー」と見るような発想が希薄だった。入学者選抜の基準が多様化する今後においては、学生のシナジーを積極的に考える大学が評価されると予想される。

大学だけでなく、会社、オンラインサロン、同好会、勉強会など、さまざまな場で、メンバーを選ぶうえでのセンスが問われている。いいチームを組める人は、ビジネスや人生の達人となるのだ。

(写真=つのだよしお/AFLO)
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