互いを深く知る「価値観チェックシート」とは

そんな悩める管理職のためにも、この3つのアクションをうまく進めるヒントが紹介されました。

①自分をよく知る

相手を知るためには、まずは自分の興味や強みなどを知り、さらにそれが周りに与える影響まで思いを致す。

➁相手を知る

部下の興味や強みを知る。さらに目的を持って積極的に話を聞き、共通理解があるかどうか、ともに確認することが大切。

➂3つのH

Head(頭で考えて起こりうる状況を準備しておく)、Heart(フィードバックの際は心で接する)、Hand(手を差し伸べて行動で示す)の3つのHを心がけておくこと。

そして、①と➁のお助けツールとして「価値観チェックシート」の活用をすすめます。

「“自分のチームや組織が成功する”“昇給する”など、仕事のモチベーションを示す20項目に対して、上司と部下それぞれが大事にしているもの、あるいは大事でないものをチェックします。そして、相手が大事にしているものはこれだろうなと予測して相手のものも書き込みます。このシートを元に一対一の会話を定期的に持つと非常に効果があります」

日本全体で取り組まないと意味がない

P&Gジャパンのこうした取り組みは、人事部と広報部を中心に、営業部や法務部、マーケティング部、生産部など各部署のトレーナーが集まって行われています。広報部の住友聡子さんは、「参加した企業の方は、ダイバーシティ&インクルージョンには文化や制度だけでなく、スキルが大事ということに驚かれます。管理職がスキルを持つことで、さらに加速させられることをお伝えすると、みなさん納得されますね」

すべて無償とはいえ、提供する側のP&Gジャパンのメリットも大きいと言います。

「多くの企業の方とお話しするなかで、われわれの中にも学びや気づきがたくさんあります。また喜んでいただくこと自体、『うちのことが役に立つことがあるんだ』と、社員にとっても大きな喜びになっています。でも、こういう取り組みは、うちだけでやっても意味がない。日本全体でやらないとダメなんだというのが、P&Gジャパンの社長の考え方なんです」

池田 純子(いけだ・じゅんこ)
フリーライター