社員が全力を出せる組織をつくる3つの柱

①文化

ビジネス戦略として経営陣と社員をつなげるには、人事部門がダイバーシティ&インクルージョンを啓蒙し、文化を醸成することが大切。P&Gジャパンの文化の醸成の一例として“自分らしくあれる服装”というドレスコードがある。

②制度

社員一人ひとりが最も生産性の上がる働き方を実現するツールとして制度が整備されている必要がある。P&Gジャパンにも、フレックス・ワーク・アワーやワーク・フローム・ホームといった制度があるが、これらは社員が最大限に力を発揮するためのものという性質上、数値目標は設定していない。

③スキル

経営層、管理職、全社員それぞれに対して、ダイバーシティ&インクルージョンを実践するためのスキルを習得するトレーニングが必要。今回のプログラムは、まさに管理職向けのトレーニングにあたる。

インクルージョンには管理職が要になる

管理職としてどのようにダイバーシティ&インクルージョンを進めていくか、どういうアクションをとるか、第2部では、P&G営業部の纐纈(こうけつ)高弘さんが講師となってより実践的な内容へ。

第2部講師の纐纈高弘さん。ラグビーチームのダイバーシティについて話し合ってアイスブレーク。

「インクルージョンとは“受容”と“活用”ということ。相手を受け入れて、認めて、活かされているとインクルージョンを感じることができます。そのためには管理職が要になります」と投げかけ、自分自身がこれまで上司から認められた経験、認められなかった経験について、各テーブルでディスカッションをしました。

「プロジェクトマネージャーとして、プロジェクトの途中でクライアントを切るという大きな決断をしました。それを上司に話したときに、事情を全く聞かずにOKしてくれたんです。『お前はこれまで誰よりもお客様と会話して、お客様のビジネスを考えて、その上での決断だから、お前の考えた結論が会社としての結論だ』と言われて……。びっくりしましたが、認められたと感じました」

プロジェクトマネージャーとして上司から認められた経験を発表した女性には、ひときわ大きな拍手が送られました。

では自分が管理職としてインクルーシブな関係をつくっていくにはどうしたらいいのでしょうか。纐纈さんは“3つのアクション”を挙げます。