360度評価や1on1……いずれも話題になり、多くの企業で取り入れられている手法ですが、意外なデメリットも。多くのマネジャーにアドバイスをしてきた識学の冨樫篤史さんは、これらの手法を安易に取り入れることの危険性を指摘します。
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マネジメントは流行りに流されてはいけない

前回「勉強熱心なリーダーほど陥る、意外な落とし穴」で紹介した、元部下との会話。前回は動く前に準備し、お勉強しすぎるデメリットについて言及した。今回は会話の中で出てきた具体的理論やメソッドのデメリット分析を識学的見地から行ってみる。この部下に限らず、これらのメソッドを使って失敗する企業を多く見かけるからだ。

【冨樫】「どんなマネジメントをしようと思っているの?」
【元部下】「今までついてきた上司の良し悪しを踏まえてやってみようと思います」
【冨樫】「良いと思っているのは、例えばどんなスタイル?」
【元部下】「1on1とかやって、部下の話をよく聞いて、信頼関係を築こうと思います。エンゲージメントっていうんですよね⁇ これがないと始まらないと思います。信頼関係ですね」
【冨樫】「なるほどね」
【元部下】「○○(大手リサーチ会社)のデータだと○○っていう統計が出ていて、方針とかに対していかに納得感をもって動いてもらうかが重要だと思うんですよね」
【冨樫】「へえ、よく調べているね」
【元部下】「失敗を最小限にしたいし、人間関係の修復って難しいじゃないですか。いろいろ調べてから挑みたいと思うんですよね。昔からそういうタイプで……」
【冨樫】「たしかに、前からよく考えて、調べて、人に聞いてやるタイプだったよな」
【元部下】「コンプライアンスとかも強化したいっていう方針なので、360度評価とかも入れて……」