今の大学生が望む年収や初任給はどのぐらいなのか、それをかなえるためにどんな会社を選ぼうとしているのか、バブルを知らない世代にとって「お金の価値」はどこにあるのか──。原田曜平さんの司会と解説でお届けします。
座談会メンバー
井上 雄仁くん/法政大学3年生。バイト収入約7万円。支出は食費、交通費、生活費等で約5万5000円。男性
山田 修平くん/法政大学3年生。バイト収入約7万円。サブスク、交際費、サークル費用等でほぼ全額を使う。男性
丹羽 明日香さん/早稲田大学3年生。仕送り収入のうち小遣い約7万円。外食費、交際費、化粧品等でほぼ全額を使う。女性
塩田 亜多夢くん/慶応義塾大学3年生。バイト収入約10万円。映画鑑賞や飲み会代などの交際費でほぼ全額を使う。男性
長谷川 優真さん/早稲田大学3年生。バイト収入約8万円。支出は生活費、交通費等で約5万円。奨学金返済用に月1万円を貯金。女性
浅見 悦子さん/青山学院大学4年生。バイト収入約8万円。外食や飲み会代などの交際費、交通費でほぼ全額を使う。女性
※収入・支出額は1カ月平均。

両親が与えてくれた生活水準を守りたい

【原田】今日は、皆が将来いくらぐらい稼ぎたいのかを聞きたいと思う。希望する年収と、その理由を教えてくれるかな。

【塩田くん】僕は1000万は越えたいと思っています。それだけ稼ぐとかっこいいとかじゃなくて、今の生活水準のまま暮らそうと思ったら、それぐらい必要かなと思うから。両親が与えてくれている今の生活を、そのまま自分の稼ぎでつくれるようになりたいです。

将来、年収1000万円を超えたいと語る塩田くん(左)と手取り月給25万円は欲しいという長谷川さん(右)。

【山田くん】僕も1000万が目標です。僕は今の生活環境にすごく満足しているんですが、それは両親が頑張ってくれているおかげ。自分も頑張って働いて、家族に同じ環境を用意してあげたいんです。それには1000万円ぐらい必要なんじゃないかな。奥さんになる人が働き続けるかどうかは関係なく、自分個人でこれくらい稼ぎたいと考えています。

【井上くん】僕も、将来的には両親と同じ生活水準を目指したいです。1人で稼ぐのは難しいかもしれないけど、共働きで1000万ぐらい収入があったらいいのかなと思います。

【丹羽さん】確かに、希望年収って自分の育ってきた環境を基準に考えるかもしれない。今、私がほとんどバイトせずに済んでいるのは両親のおかげなので、それに必要な年収って……と考えると、やっぱり1000万ぐらいなのかな。

【原田】年収1000万円以上の人って、日本では人口の5%未満なんだよ(国税庁「平成29年分民間給与実態統計調査)。だから皆の希望を聞いて「理想が高いな」と思ってしまったけど、単に憧れから言っているわけじゃないんだね。1000万は、今の生活水準を守るための必要額だと考えている。その意味では、額はともかく動機は堅実と言えるかもしれないな。