「給料と働きがい」どちらが大切か

【原田】年収や初任給について聞いてきたけど、それをかなえるにはまず働かなければならないよね。浅見さん以外は3年生で、もう就活を始めた人もいると思うんだけど、やっぱり初任給重視で会社を選んでいるのかな。数字で表すとしたら、給料と働きがいは何対何になると思う?

【井上くん】僕は1対9です。その会社が自分に合っているかどうか、やりたい仕事や働きたいと思える環境があるかどうかが大事ですね。給料を重視しすぎると会社も絞られちゃうし、面接を受けていても気持ちが入らないんです。

給料と働きがいの優先順位は1:9で、初任給を意識せず就職活動をしている井上くん(左)。

【原田】でも、何となく大きめの会社を選んだりしていない? 大企業はいろんな部署があるからやりたい仕事に出会える可能性も高いし、会社自体の稼ぎがいいから初任給も高い傾向にある。給料が低い零細企業は避けて、そうした企業を選んでいるんだとしたら、「働きがいが9」っていうのは少し大げさなんじゃないかな。

【井上くん】今は初任給をよく知らないまま就活していますが、確かに大きめの会社を選んでいる気がします。ただ、イメージとしては、まず働きたい職場があって、そこにある程度の収入がついてくるっていう感じ。そう考えると、働きがいが最優先なのは変わらないかなと思います。

【塩田くん】感覚的に言えば、僕は給料0、働きがい10になるのかなと思いますが、さっきの原田さんの話を聞いて、僕も大企業しか見てこなかったので無意識に選別している部分はあるかもしれない。ただ、給料のことはまったく考えずに就活していて、初任給も知らないまま面接を受けています。

【山田くん】僕は5対5です。給料は自分の努力への評価だと思うし、仕事にはやりがいも感じたいから、どっちも同じぐらい大切です。どんなに給料が高くても、やりたくない仕事だったら続かないはず。逆でも同じことが言えると思うので、このバランスは絶対大事にしたいです。

女子にとって給料はとても大事!

【丹羽さん】給料と働きがいは6対4です。私はプライベートを豊かにするために働きたいので、仕事は「楽しかったらありがたい」ぐらいの感覚です。

「プライベートを豊かにするために働きたい」と語る丹羽さん(中央)

【長谷川さん】私も6対4です。奨学金の返済を考えたらお給料は大事。大企業ほどお給料も高いようなので、就活もそちらが中心になると思います。でも、働きがいがまったくなかったら、仕事自体続けられないですよね。

【浅見さん】私はお給料8、働きがい2で就活しました。やりがいを感じたいという気持ちももちろんありますが、自分はお給料という評価をもらわないと満足できないタイプだと思ったんです。それと、私は「これはやりたくない」って思う仕事があまりないんですよ。だから仕事内容は限定せずに探して、いろんなことに挑戦させてもらえる会社を選びました。

【原田】男子3人は働きがい優先か同等、女子3人は給料優先という結果になったね。これは男性にとってはありがたい話なんじゃないかな。昔は一家の大黒柱は男性で、収入1000万を目指そうと思ったら1人で稼がなきゃいけなかったけど、今は共働きで500万ずつ稼げば同じ収入が得られるわけだからね。

希望年収は1000万、希望初任給は25万〜30万。一見すると理想が高すぎるようにも思えますが、話を聞いてみると、その動機は「今と同じ生活水準を守りたい」というかなり堅実なものでした。リッチになりたい、高所得者への憧れといった動機はゼロ。特に女子は、自分が必要とする額をよく把握していて、しかもそれを自分で稼ぎ出すのが当然と考えているのが印象的でした。今の若者は、お金を富の象徴とは捉えず、生活手段や仕事ぶりへの評価という面に価値を見出しているようです。

写真=iStock.com 構成=辻村 洋子

原田 曜平(はらだ・ようへい)
マーケティングアナリスト

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」「Live News it!」、日本テレビ「バンキシャ」等に出演中。「原田曜平若者研究所」のYouTubeチャンネルでは、コロナ禍において若者の間で流行っていることを紹介中。