働き方改革のおかげで労働時間が減ったかというと、現実はそうでもありません。国際的に見た生産性の低さも指摘され続けています。そんな現状の打開策として、東京工業大学准教授の西田亮介さんは、法定労働時間を1日6時間、週30時間に引き下げるべき、と提案。実現可能性も含めてその提案を探ります。
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働き方改革の効果のほどは……

日本では残業時間を除いて、一日8時間、週40時間というのがひとつの標準的な働き方になっています。読者の皆さんの職場の標準的な勤務時間もだいたいこのように定められているのではないでしょうか。労働基準法という法律によって定められている法定労働時間の上限がこのように定められているため、就労規則というやはり職場に必ず定めなければならないルールにその数字が反映されているためです。

なお現実の多くの職場には残業が存在すると思いますが、残業については労働組合などの労働者の代表と使用者(≒勤め先)が合意のもと定めて監督官庁に届け出た協定(いわゆる「36協定」)に基づき、働き方によって若干変動しますが、基本的には月45時間まで認められています。それらについては割増賃金が支払われなければなりません。「サービス残業」は言うまでもなく違法行為です。

いずれにせよ、日本人は働きすぎだということが言われてきました。もしかすると、最近の働き方改革の影響で、日本人の労働時間は減少して、最近では働き方の問題は解決したのではないかと考えている人もいるかもしれませんし時々報道でもそのようなニュースも流れますが、実際にはそうとはいえません。